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建物を賃貸するにあたり、賃貸期間が終了したら必ず目的物を返還して欲しい場合には、定期建物賃貸借契約を締結するといいと聞きましたが、どのような制度なのでしょうか。
借家借家法の適用のある通常の建物賃貸借においては、期間満了時の更新拒絶、あるいは解約申入れの際に正当事由の有無が問題となります(借地借家法第28条)。しかし、定期建物賃貸借においては、「契約の更新がないこととする旨」を定めることができるとされており、上記のような正当事由条項の適用を排除することが認められています(借地借家法第38条第1項)。従って、賃貸人は、契約で定めた期間の満了により確定的に契約を終了させ、目的物の返還を請求することが可能となります。そして、このような定期建物賃貸借契約を締結しようとする場合には、公正証書による等書面によって契約をする必要があり(借地借家法第38条第1項)、かつ、あらかじめ、建物の賃借人に対し、契約の更新がなく、期間の満了により建物賃貸借が終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければなりません(借地借家法第38条第2項)。また、契約期間が1年以上である場合には、建物の賃貸人は、期間の満了の1年前から6ヶ月までの間に、建物賃借人に対し、期間の満了により建物賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物賃借人に対抗することができないものとされているため留意が必要です(借地借家法第38条第4項本文)。
作成日:2022年01月06日
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