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建物賃貸借において、賃料の減額をしない旨を規定することにより賃借人の賃料減額請求権を排除することは可能でしょうか。

借地借家法第32条は、建物の賃料が、租税その他の負担の増減、土地・建物の価格の上下、その他の経済事情の変動により、または相場の変動により近隣の同種の建物の賃料に比べて著しく不相当となったときは、賃料増減請求権が認められるものとしています。そして、かかる規定は借地借家法第37条の片面的強行法規規定としては列挙されていませんが、「契約の条件にかかわらず」認められるものとされているため、強行法規的性格を有するものと解されています。従って、賃料の減額をしない旨を規定しても、そのような特約により賃借人の賃料減額請求権を排除することはできないと考えられます。

他方、賃料の増額請求権については、一定期間賃料の増額をしない旨の特約がある場合には、その期間中は、賃料増額請求権を排除することが法律上認められています(借地借家法第32条第1項但書)。また、定期借家契約においては、契約中に「借賃の改定に関する特約」が設けられている場合には、賃料増額・減額請求権は認められないこととされています(借地借家法第38条第7項)。
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