ヘルスケア産業の成長や適切なエコシステムの構築に向けて、ヘルスケアスタートアップと事業会社との間の連携・出資・買収を促進することを目的として、経産省が『GROWTH & EXIT PLAYBOOK-ヘルスケアスタートアップと事業会社間の連携・出資・買収のための手引書』（＝本手引書）を策定し、公開しました。本手引書には、以下の内容が記載されています。
・ヘルスケアスタートアップの特徴・課題の整理
・ヘルスケアスタートアップの資金調達状況の分析
・ヘルスケアスタートアップのエグジット準備に係るチェックリスト
・出資・買収に係るチェックリスト
・ビジネス領域・ステージ特有の課題
まず、「ヘルスケアスタートアップの特徴・課題の整理」の項目では、日本では手厚い医療制度が整備されていることを背景として、消費者の健康リテラシーが向上せず、ヘスケアサービスへのコスト負担の意識が低いこと、それゆえ、単純な課金モデルではマネタイズが難しく、持続可能なビジネスモデルの構築には消費者以外のステークホルダーから収益を得るモデルの検討が必要となることなどが記載されています。これ以外にも、領域ごとの課題がデータと共に整理されています。
「ヘルスケアスタートアップの資金調達状況の分析」の項目では、「日本はサービス検証の段階にあるシードでの脱落率が高い（45%）ものの、それ以降は脱落率が大きく落ち、ステージが進むほど手厚い支援が取られている」などの分析と共に、日本、グローバル市場ともにダウンラウンド率が増加傾向にあることが言及されています。
「ヘルスケアスタートアップのエグジット準備に係るチェックリスト」、「出資・買収に係るチェックリスト」の項目では、その名のとおり、エグジット準備中のスタートアップ、買収を検討する事業会社がチェックすべき項目がリスト化されており、参考になります。
最後に、「ビジネス領域・ステージ特有の課題」では、領域・フェーズ毎に課題が整理されていることに加え、課題に応じた打ち手が紹介されています。実際のビジネスにおける課題解決を検討する際に有用であると考えます。
本手引書には、（率直に申し上げて）耳が痛いことも多く記載されているものと考えますが、ヘルスケアスタートアップ以外にも参考となる視点や示唆が記載されているものと考えます。そのため、ヘルスケアスタートアップ、ヘルスケアスタートアップに関わる事業会社の方々以外にも役立つ内容となっていると思われますので、一読をオススメいたします。
弊所では、ヘルスケアスタートアップの出資、エグジット等について日々ご相談を受けていますので、ご不明点等ございましたらお気軽にお問い合わせください。
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