AZXポリシー

Q12 予防法務とは何ですか?ベンチャー企業にとって重要でしょうか?

予防法務とは企業が予期せぬ法的な問題や紛争に直面しないように予め法的な整備等を進めることを意味し、AZXではクライアント企業の将来のIPO/M&A及びその後の発展のために予防法務の観点からサポートしています。

◆予防法務の必要性

企業法務においては、基本的には企業が予期せぬ法的な問題や紛争に直面しないように予め法的な整備等を進めるという意味での予防法務が極めて重要です。

例えば、ビジネスモデルが自分の知らない許認可を要する事業であり、コストと時間をかけてシステムを構築したのに、のちに許認可の必要性とその取得が困難なことが判明したら、大変なことになります。

契約書を締結する目的は、取引の諸条件及び取引が終了する際の取扱いを明確にして、紛争を防止することにあります。例えば、30万円程度のコストをかけて、契約書をきちんと整備しておけば防げた紛争が、契約書の不備により取引の諸条件が不明確となり、訴訟になるようなことになれば何百万円、何千万円もの訴訟費用が掛かる可能性があります。

また、契約の不備によって重要な知的財産権が奪われてしまうようなことになれば、お金では解決が難しい事態になる可能性もあります。

また、税務について適切な対応をしていなかったために、後に税務調査等で税金の不払いが発生した場合には、予期せぬ支払債務が発生するばかりか、企業の信用を大きく傷つける可能性があります。

予防法務とは、そのような事態にならないように、予め法的な整備をして、できる限り紛争を防止することをいいます。将来のIPOやM&Aを目指す未上場企業及び一般株主に対する重い責任を負っておりコンプライアンス対応が重要である上場企業においては、特にこの予防法務の視点が重要です。

AZXでは、クライアント企業の皆様が紛争に巻き込まれるのを防ぐことが最重要であると考えて対応しています。

◆各事務所の方針の違い

どのような方針でクライアントをサポートするかは各事務所によって異なります。訴訟をメインにしている弁護士は、一般的には、通常のアドバイスは低額の顧問料で引き受けて、その代わりに訴訟になったら稼がせてもらうというスタンスのところが多い傾向にあります。このような事務所の場合は、例えば、顧問料5万円でなんでも聞いてくださいというかなりアバウトな顧問契約を締結していることが多いです。そのようなケースの場合、当然ながら各アドバイスは軽めになるため、例えば、IPOの審査等で、当該弁護士の過去のアドバイスを書面にして出してくださいと依頼すると、「書面で出すことはできません。」と急に前言を撤回されてしまったりするケースもあります。訴訟等の大型案件が生じるまでの“つなぎ”的に軽めのアドバイスをしている場合には、一件ずつきちんと検討する余力も意思もない状況で対応することになるため、このような事態が生じることになります。従って、アドバイザーを選択する場合には、各アドバイザーの方針をよく自分なりに確認して選択することが重要です。

◆予防法務を実現するためには

予防法務を実現するためには、クライアントから求められたアドバイスについて、将来のIPOやM&Aで支障が生じないか、紛争が生じることにならないか、取締役の善管注意義務として株主から責任を追及されることにならないかという視点からきちんと検証しながらアドバイスをする必要があります。

クライアント側では、「問題ないと思うのですが、ちょっと聞いてみました。」というかなり軽い気持ちで質問をした場合であっても、われわれプロの目から見ると、「それは、かなり重要な問題を含んでいる。」というケースも多いのが実情です。クライアント側に専門知識がないからこそ、われわれがサポートしている以上、このようなケースが多いのはある意味で当然のことです。

AZXに依頼してくるクライアントのほとんどは上記のような予防法務を期待しており、AZXとしてもそれを理解し、クライアントの認識している範囲にとどまらず、クライアントが認識していないリスクも洗い出してアドバイスをすることが重要であると考えています。

ただ、そのためには、適切な範囲である程度の調査確認の稼働が必要となり、そのためのフィーも発生する点をご理解いただきたいと考えています。AZXとしては、品質を最も重視しており、価格については合理的かつ柔軟に対応する方針であるものの最安値を目指しているものではないのです(AZXの料金ポリシーについてはQ8をご参照ください。)。

◆予防法務の観点からのアドバイザーの選択

予防法務について、料金だけでアドバイザーを選ぶのは極めて危険なことです。

とにかく低料金のアドバイザーに頼むということは、自分の大切な家を建てるときに、とにかく価格の安いハウスメーカーに依頼してしまうことに似ています。外形上家は建ち、「安く家が建てられた!」と喜んでいても、いざ地震が起きたり、何らかの理由で調査をすることになったりした場合に、急に問題が発覚して大きな損害が生じていることに気付くことになります。

これは契約書等でも同じような問題が生じます。低価格でずさんな契約書を作成しても、紛争が生じなければ、その契約書の問題は認識されないまま時が経過していきますが、いざ紛争となった段階で、「あれ、この点の規定がない。。。」「責任が全部かかってくるのか。。。」などという事態になります。

一般株主が多数いる上場会社においてこのようなリスクは避けなければならないことは当然ですが、将来IPOやM&Aを目指す未上場企業の場合には、また別の視点で問題が生じる可能性があります。契約書については、一般的には上記のような「地震」に相当するような「紛争」が生じなければ問題ないと思われがちですが、将来のIPOやM&Aにおいては、一般的にデュー・ディリジェンスという調査が行われます。その場合には、例え紛争が生じておらず、円満に進んでいる取引の契約書についても当然チェック対象となり、自社でリスクを認識していなくとも、競業禁止規定を入れられていたり、知的財産権を奪われていたり、契約を任意に解除される規定があったりする場合には、大きな問題となる可能性があります。

アドバイザーが予防法務についての知識経験を十分に持っていないとかなりリスクの高い状況となるため、企業としてはそのようなアドバイザーを見分ける必要がありますが、自分の専門分野ではないため、どのように質問して試せばよいかなかなか分からないのが実情です。

家を建てる時に、信頼できるハウスメーカーであるか否かを検討するには、やはりそのハウスメーカーの過去の実績が重要だと考えます。長期間にわたり高い信用を保持しているハウスメーカーであれば、そのハウスメーカーが建てた家がその間に地震に耐えたか否か分かりますし、クレームが多ければそれが評判になっているはずです。しかし、まだ社歴の浅いハウスメーカーの場合には、低価格であっても、果たしてその会社の建てた家が地震に耐えた実績があるのかわからず、また、顧客数も少ないので評判も検証しにくい面があります。

アドバイザーについても、同様であり、多くの企業及び事業をサポートし、IPOやM&Aの現場で何が問題となり、それがどのようにクリアーされ、又は、どのような問題は解決できないで致命傷となったのかという点の知識と経験を長年にわたり蓄積していることが重要です。特に企業法務の分野は、多数の事業や問題をサポートする経験が必要であるため、経験年数の低いアドバイザーにのみ依拠するのは危険なことです。

◆予防法務に関するAZXの実績と体制

AZXでは、20年以上にわたり、6000社以上のベンチャー企業の皆様をサポートし、172社を超えるベンチャー企業をIPO市場に送り出してきた実績と経験があり、それに基づきクライアントの皆様をサポートしています。また、若い弁護士等が窓口となって対応する場合であっても、経験のあるパートナー弁護士等が監督して品質管理をしています。予防法務を真剣に必要と考える皆様と一緒に日本のベンチャー・スタートアップ業界を盛り上げていきたいと考えております。

なお、予防法務を徹底していても避けられない紛争もあります。その場合には、適切なタイミングで訴訟等の法的な手段を講じて対処する必要があります。紛争が生じてしまった場合に、それをサポート等することも、われわれ弁護士、税理士等のプロフェッショナルの重要な役割の一つです。

AZXでは、知的財産権関連の紛争、労働審判等の労務関連の紛争、売掛金回収の訴訟等多くの紛争案件について、訴訟、仮差押、仮処分等の法的手続について多数対応実績があります。特にベンチャー企業の法律顧問として当該企業で生じた法務問題については全てAZXにて対応しているケースが多く、各種訴訟等についてもきっちりとサポートしております。