~ AZX Coffee Break Vol.21 〜
昨今の中小企業における雇用経済情勢に対応するため、行政等においては雇用保険関係各種助成金(以下、「助成金」という。)の新設・改正が随時行われており、ベンチャー企業においても当該助成金を活用する機会が考えられるため、本稿でその一部概要を案内いたします。なお、助成金については受給要件、申請手続等、複雑なものも多いため、当該案内に際しては、下記事項を前提としている点ご留意ください。
①助成金は、都道府県労働局又は公共職業安定所、独立行政法人、財団法人等で扱っており、助成金の数や種類も多岐に渡るため、今回は新設・改正されたものや主な助成金のうち一部を記載していること。
②助成金の受給要件については詳細な定めがあるものの、今回は簡潔に概略のみを案内しているため、当該記載内容のみで受給できるか否かは判断できないこと。
③平成22年8月1日現在の情報に基づき案内していること。
(1)中小企業子育て支援助成金(平成23年度までの時限措置)
【受給要件】
平成22年6月改正の育児介護休業法における所定外労働の免除及び所定労働時間の短縮措置を就業規則等で整備しており、次世代育成支援対策法に基づく一般事業主行動計画を策定し、届け出ている中小事業主(常時労働者数100人以下)であって、平成18年4月1日以後に初めて育児休業取得者が出て、当該取得者が復職後も1年以上継続して雇用されること。
【受給金額】
・1人目:100万円
・2人目〜5人目:1人につき80万円
(2)両立支援レベルアップ助成金
【受給要件】
平成22年6月改正の育児介護休業法における所定外労働の免除及び所定労働時間の短縮措置を就業規則等で整備しており、次世代育成支援対策法に基づく一般事業主行動計画を策定し、届け出ている事業主であって、子を養育するための短時間勤務制度を連続して6ヶ月以上労働者が利用すること。但し、(1)と(2)は原則として併給されません。
【受給金額】
・常時労働者100人以下の事業主:最初の対象者100万円、2人〜5人目は1人につき80万円
・常時労働者101人〜300人以下の事業主:最初の対象者50万円、2人〜10人目は1人につき40万円
・常時労働者301人以上の事業主:最初の対象者40万円、2人〜10人目は1人につき10万円
(3)新卒者体験雇用奨励金(平成22年度限りの時限措置。但し、延長措置等の可能性有)
【受給要件】
ハローワークに体験雇用求人登録を行っており、平成21年10月から平成22年9月末までに卒業した40歳未満の者で就職先が未決定の者を1〜3ヶ月の有期雇用契約で体験雇用すること(体験雇用実施計画書に正社員へ移行するための要件を記載するため、当該要件を満たした場合、体験雇用終了後には正社員に移行)。
【受給金額】
・1〜3ヶ月の期間に応じて、1人につき最大16万円
(4)試行雇用奨励金(トライアル雇用奨励金)
【受給要件】
ハローワーク等の紹介により、就職が困難な特定の求職者(45歳以上の中高年齢者、40歳未満の若年者、母子家庭の母等)を、一定期間(原則として3ヶ月間)試行雇用すること。当該奨励金は、業務遂行に当たっての適性や能力などを見極め、その後の常用雇用への移行や雇用のきっかけとすることを目的としています。
【受給金額】(支給上限:最大3ヶ月分まで)
・1人につき月額4万円
(5)若年者等正規雇用化特別奨励金(平成23年度までの時限措置)
【受給要件】
年長フリーター等(25歳以上40歳未満)や採用内定を取り消されて就職先が未決定の学生等を、ハローワークの紹介により正規雇用し、一定期間経過すること。
【受給金額】(中小企業の場合は、最大100万円を支給対象期ごとに3回に分けて支給)
・半年経過後:50万円
・1年半経過後:25万円
・2年半経過後:25万円
(6)派遣労働者雇用安定化特別奨励金(平成23年度までの時限措置)
【受給要件】
6ヶ月を超える期間継続して労働者派遣を受け入れていた業務に、派遣労働者を無期又は6ヶ月以上の有期契約(更新有りの場合に限る)で直接雇い入れること。
【受給金額】(中小企業の場合は、下記金額を支給対象期ごとに3回に分けて支給)
<期間の定めのない労働契約の場合…最大100万円>
・6ヶ月経過後:50万円
・1年6ヶ月経過後:25万円
・2年6ヶ月経過後:25万円
<6ヶ月以上の有期労働契約の場合…最大50万円>
・6ヶ月経過後:30万円
・1年6ヶ月経過後:10万円
・2年6ヶ月経過後:10万円
(7)中小企業雇用安定化奨励金(正社員転換制度奨励金)
【受給要件】
就業規則等に正社員転換制度を新たに定め、制度導入日から起算して3年以内に、有期契約労働者を実際に1人以上正社員に転換させること。
【受給金額】
・1人目:40万円
・2〜10人目:1人につき20万円
以上、助成金の一部を紹介したものの、すべての助成金を網羅している訳ではないため、各企業において他に受給要件を満たす助成金等がないかについて検討することも考えられます。また、育児介護休業法や雇用保険法等の改正に伴い、各種助成金もその都度改定・新設が行われることが多く、当該法改正に対応した就業規則の整備等が求められることがあるため、各企業においては常に各種労働関係法規の改正に対応した社内整備を進めていくことが望ましいと考えられます。
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