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景品規制をクリアに!【その3】景品類にあたらない値引とは?

AZX弁護士の横田です。

前回のLightBlogに引き続き「景品類」に該当しない場合について解説いたいしますが、今回は、「景品類」に該当しない「値引」について、解説いたします。

 

1 正常な商慣習に照らして「値引」と認められるもの

(1)値引の類型

正常な商慣習に照らして「値引」と認められる経済上の利益は、「景品類」に該当しないと考えられており、主に以下の3つの類型の値引が想定されています(『景品類等の指定の告示の運用基準について』(以下「運用基準」といいます。)第6項(3)参照)。

① 対価の減額
  例:●回利用頂いたら、次回●円引き

② 割戻し(キャッシュバック)
  例:購入金額の●%キャッシュバック

③ 増量値引
  例:コーヒー●杯購入した方にコーヒー1杯分を無料サービス

(2)正常な商慣習とは

上記のような場合に必ず全て「値引」として「景品類」に該当しないというわけではなく、「正常な商慣習に照らして」値引と認められるものである必要がある点に注意が必要です。

この「正常な商慣習に照らして」という点については、運用基準等において「取引通念上妥当と認められる基準に従い」と説明されている部分もありますが、これについての具体的な判断基準は消費者庁の資料等で示されていません。
「正常な商慣習に照らして」値引と認められるかどうかは、提供される経済上の利益の内容、提供の条件、方法、業界における慣行等を勘案し、不当な顧客誘引を防止し一般消費者の利益を保護する観点から、個別に判断されると考えられています。また、判断に当たり、公正競争規約が設定されている業界においては、公正競争規約の定めるところを参酌することになるとされています。

なお、現在存在する商慣習に合致しているからといって、直ちにその行為が正当化されることにはならないと考えられている点に注意が必要です(以上について『景品に関するQ&A』Q36参照)。

例えば、割戻しの対象となる取引の金額よりも多い額を提供するような場合には、正常な商慣習に照らして値引と認められる経済上の利益には該当しないと考えられます(『景品に関するQ&A』Q42参照)。

(3)「値引」と認められる経済上の利益に当たらない場合について

以下のような場合には、「値引」とは認められず、景品規制が適用されると考えられる点に注意が必要です(運用基準第6項(4)参照)。

① 懸賞による場合

② 減額し又は割り戻した金銭の使途を制限する場合(但し、「金銭」ではない割引券等であれば使途を制限してもこの②の場合には該当しない(『景品に関するQ&A』Q47参照))

③ 購入者に同一価額で商品を増量する場合であっても、実質的な同一商品又は役務の付加をするものではない場合(例:コーヒー●杯飲んだらジュース1杯を無料サービス)

④ 同一の企画において景品類の提供と併せて行う場合(例 取引の相手方に金銭又は招待旅行のいずれかを選択させる場合や、A商品の購入者に対しA商品又はB商品のいずれかを選択させてこれを付加して提供する場合など)

2 まとめ

以上のように、景品規制が適用されない「値引」と整理することができる場合がありますが、どのようなものであれば「値引」と整理できるのか判断に迷うケースなどもあると思われますので、ご不安な点などありましたら、お気軽にご相談ください。

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執筆者
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