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経済産業省から、「スタートアップの成長に向けたインセンティブ報酬ガイダンス―人材獲得のためのストックオプション活用術-」が2025年2月10日に公開されました。以下の章立てで、税制適格ストックオプションを含めたインセンティブ報酬の概要、事例紹介、論点・手続の解説までなされており、インセンティブ報酬制度を導入中、導入検討中のスタートアップは必見の内容となっています。詳細は上記ガイダンスをご確認頂ければと思いますが、以下では概要をご紹介します。
第1章 インセンティブ報酬制度導入の意義と考え方
第2章 成長を実現した企業の報酬制度事例紹介
第3章 ストックオプションに関する実務上の論点
第4章 ストックオプションに関する実務手続
第1章では、インセンティブ報酬の意義等を解説した上で、税制適格ストックオプションを含めた各インセンティブ報酬制度の概説がされています。
特に、税制適格ストックオプションについては、そのメリット、要件、制度改正等に加え、各成長ステージにおけるモデルケースが記載されており、実務的な内容となっております。
第2章の事例紹介では、株式会社メルカリなど誰もが一度は名前を聞いたことがあると思われるスタートアップが、実際に導入している、導入していた税制適格ストックオプション等の付与状況、条件等が記載されています。ステージや付与対象者に応じて権利行使条件等を変えている点などが参考になります。
第3章の実務上の論点では、ストックオプションの付与割合に始まり、付与対象者の退職時、M&A時のストックオプションの取扱い、RS(リストリクテッドストック/譲渡制限株式)など上場を見据えて検討すべき制度、海外勤務の役職員への対応まで解説されています。上記以外にも実務上問題となる事項はありますが、まずは導入として押さえておくべき論点としては十分ではないかと思います。
第4章では、ストックオプションの発行、行使等における手続と、これらに関する留意事項が記載されており、参考になります。ストックオプション発行時に問題となり得る金融商品取引法への対応(募集規制への抵触チェックなど)や、税制適格ストックオプションの法定調書(付与調書)の提出等が言及されており、転ばぬ先の杖となるようなトピックが散見されたので、有用だと感じました。
今回は、経産省から公開されたインセンティブ報酬ガイダンスをご紹介しました。
実際にストックオプション等を発行する際には上記ガイダンスの内容も踏まえつつ、個別のアレンジが必要となりますので、適宜アドバイザーにご相談頂くのが良いかと思います。弊所ではストックオプションを含めた様々なインセンティブ報酬制度についてアドバイスをしておりますので、ご不明点がございましたらお気軽にご連絡下さい。