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当社は繰越損失を計上しています。資本金の額を当該損失額分減少することで繰越損失をゼロにできると聞きましたが、会社法上どのような手続が必要ですか。

資本準備金に振り替える場合を除き、資本金を減少すると分配可能額(会社法第461条第2項)が増えることとなりますが、会計上は資本剰余金が増えるに過ぎませんので、資本減少によって当然に繰越損失に充てられることにはなりません。
会社法上は、資本減少と、剰余金の処分(会社法第452条)という2段階の手続を行う必要があります。具体的には、まず資本金の額を減少し、それによって減少額が「その他資本剰余金」に振り替えられます。その上で増加した「その他資本剰余金」を「その他利益剰余金」に振り替えることにより、利益剰余金のマイナスを消すこととなります。資本減少と剰余金の処分はいずれも株主総会決議が必要となるため、同じ株主総会で決議している事例が多く見られますが、会社法上は別の手続ですので注意が必要です。
また、「その他利益剰余金」に振り替えることができる金額については、会計原則上、直近の確定決算における「その他利益剰余金」のマイナス額の範囲に限られるものとされていますので、ご留意下さい。

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