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不祥事が発覚した後に隠蔽を図ったり、適切に公表しなかったりした場合は、取締役は善管注意義務違反として損害賠償責任を負うのでしょうか?
取締役は、その善管注意義務違反の業務執行行為により会社に生じた損害を賠償する責任を負うところ、取締役の業務執行は不確実な状況で迅速な判断をせまられる場合が多いため、善管注意義務が尽くされたか否かの判断は、行為当時の状況に照らし合理的な情報収集、調査、検討等が行われたか、その状況と取締役に要求される能力水準に照らし不合理な判断がなされなかったか否かを基準になされるべきであり、事後的、結果論的な評価がなされてはならないと解されています(いわゆる経営判断準則)。また、注意義務違反の証明責任は取締役の責任を追及する原告側にあると解されています)。したがって、不祥事が生じたのみでは、直ちに善管注意義務違反を負うものではない場合もありますが、その不祥事の発覚後に、隠蔽を図ったり、適切に公表しなかった場合には、積極的な善管注意義務違反があるとして、損害賠償責任を負う可能性が高くなります。この点、ダスキン株主代表訴訟(大阪高裁平成19年1月18日判決)では、肉まんに食品衛生法違反の添加物が混入されていたことについて、混入されていた事実を知った後に口止め料を支払ったり、適切に公表しなかったことなどについての取締役の善管注意義務違反を理由に、取締役らに連帯して106億2400万円もの支払いを認めており、経営判断を基準に認定されることを前提とするからといって、損害賠償責任を負うリスクが低いとはいえないと考えられます。
作成日:2022年01月12日
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