優先株定款規定(簡易版)

書式/雛型 - 優先株式/タームシート

優先株定款規定(簡易版)

 

A種優先株式に関する定款変更案
-簡易版-

 

※種類株式普及のため、①残余財産の優先分配、②希薄化防止条項を主目的とした簡易な定款変更案を作成しました。希薄化防止条項の調整は、マイルドなBroad-based Weighted Average方式にしています。優先配当も入れましたが、主目的ではないという考えから、未払配当額の累積規定は入れていません。また、種類株主総会決議事項(いわゆる拒否権条項)、取締役選任規定、みなし清算条項(合併等の場合の優先分配の条項)は必要に応じ投資契約にて対応する前提で入れていません。金銭と引換えにする取得請求は、事業譲渡等の場合についてのみ請求できる形としています。

※種類株式に慣れていないベンチャー企業及び投資家でも使用できるようにあえて簡易な雛型としました。投資対象となるベンチャー企業の資金調達の計画や成長ステージ、各投資家の投資方針によって実際の設計がこれと大きく異なる可能性がある点ご留意ください。

※条文番号は仮のものを入れており、実際の定款に合わせて修正する必要があります。
第6条 (発行可能株式総数)
当会社の発行可能株式総数は、●株とし、このうち●株は普通株式、●株はA種優先株式とする。

※普通株式の数は、発行済みの普通株式の数、新株予約権等の潜在株式から転換される可能性のある普通株式の数、及びA種優先株式が普通株式に転換された場合に発行される可能性のある普通株式の数の合計以上の数にする必要がある点、注意が必要です。

第2章 A種優先株式

第16条(優先配当)

 

1.当会社は、剰余金の配当(中間配当を含む。以下単に「配当」という。)を行うときは、A種優先株式の保有者(以下「A種優先株主」という。)又はA種優先株式の登録株式質権者(以下「A種優先登録質権者」という。)に対し、普通株式の保有者(以下「普通株主」という。)及び普通株式の登録株式質権者(以下「普通登録質権者」という。)に先立ち、各事業年度ごとにA種優先株式1株につき第17条第1項に定めるA種優先分配額(第17条第3項に基づきA種優先分配額が調整された場合にはその調整後の金額を意味する。)の●%に相当する剰余金(以下「A種優先配当額」という。)を配当する。但し、既に同じ事業年度中に設けられた基準日によりA種優先株主又はA種優先登録質権者に対して剰余金の配当を行ったときは、その額を控除した額とする。なお、当会社がさらに配当を行う場合には、A種優先株式及び普通株式に対し1株当たり同額の配当をする。

2.ある事業年度においてA種優先株主又はA種優先登録質権者に対して行う1株当たりの配当の額がA種優先配当額に達しない場合、当該不足額は翌事業年度以降に累積しない。

3.第1項に基づくA種優先配当額の計算上生じた1円未満の端数は切り捨てるものとする

第17条(残余財産の分配)

 

1.当会社は、残余財産を分配するときは、A種優先株主又はA種優先登録質権者に対し、普通株主又は普通登録質権者に先立ち、A種優先株式1株につき、金●円(以下「A種優先分配額」という。)を支払う。

2.前項による分配の後なお残余財産がある場合には、普通株主及び普通登録質権者並びにA種優先株主及びA種優先登録質権者に対して分配を行う。この場合、当会社は、A種優先株主又はA種優先登録質権者に対しては、前項の分配額に加え、A種優先株式1株につき、普通株主又は普通登録質権者に対して普通株式1株につき分配する残余財産に第19条に定めるA種取得比率を乗じた額と同額の残余財産を分配する。

3.A種優先分配額は、下記の定めに従い調整される。

(1) A種優先株式の分割又は併合が行われたときは、A種優先分配額は以下のとおり調整される。なお、「分割・併合の比率」とは、株式分割又は株式併合後の発行済株式総数を株式分割又は株式併合前の発行済株式総数で除した数を意味するものとし、以下同じとする。

                           1
調整後分配額 = 当該調整前の分配額 × ────────────
                       分割・併合の比率

(2)A種優先株主に割当てを受ける権利を与えて株式の発行又は処分(株式無償割当てを含む。)を行ったときは、A種優先分配額は以下のとおり調整される。なお、下記算式の「既発行A種優先株式数」からは、当該発行又は処分の時点における当会社が保有する自己株式(A種優先株式のみ)の数を除外するものとし、自己株式を処分する場合は下記算式の「新発行A種優先株式数」は「処分する自己株式(A種優先株式)の数」と読み替えるものとする。

            既発行A種   当該調整    新発行A種   1株当たり
            優先株式数 × 前分配額 + 優先株式数 × 払込金額
調整後分配額 =─────────────────────────────────────
              既発行A種優先株式数 + 新発行A種優先株式数

(3)第1号及び第2号における調整額の算定上発生した1円未満の端数は切り捨てるものとする。

第18条(金銭と引換えにする取得請求権)

 

1.A種優先株主は、当会社が、事業譲渡又は会社分割により、当会社の全部又は実質的に全部の事業を第三者に移転させた場合には、かかる移転の効力発生日を初日として、かかる移転の効力発生日又はかかる移転の全ての対価の交付の完了日のいずれか遅い日から●日を経過するまでの期間(以下、本条において「取得請求期間」という。)に限り、保有するA種優先株式の全部又は一部を取得しその取得と引換えに本条の定めにより金銭を交付することを当会社に請求することができる。

2.前項の請求は、対象とする株式を特定した書面を当会社に交付することにより行うものとし、取得請求期間の満了時に効力が生じるものとする。

3.本条によるA種優先株式の取得と引換えに交付される金銭は、1株当たり●円(以下「取得金額」という。)とする。なお、A種優先分配額の調整にかかる第17条第3項の規定は、取得金額に準用するものとする。

4.本条による取得の請求があった場合、当会社は取得請求期間の満了時において請求の対象となったA種優先株式を取得するものとし、直ちに取得金額に対象となる株式数を乗じた金額をA種優先株主に支払うものとする。

第19条(普通株式と引換えにする取得請求権)

 

A種優先株主は、A種優先株主となった時点以降いつでも、保有するA種優先株式の全部又は一部につき、当会社がA種優先株式を取得するのと引換えに普通株式を交付することを当会社に請求することができる権利(以下「取得請求権」という。)を有する。その条件は以下のとおりとする。

 

(1)A種優先株式の取得と引換えに交付する普通株式数
A種優先株式1株の取得と引換えに交付する当会社の普通株式の株式数(以下「A種取得比率」という。)は次のとおりとする。かかる取得請求権の行使により各A種優先株主に対して交付される普通株式の数につき1株未満の端数が発生した場合はこれを切り捨て、金銭による調整を行う。

         A種優先株式の基準価額
A種取得比率= ───────────────
             取得価額

(2)上記(1)のA種優先株式の基準価額及び取得価額は、当初●円とする。

第20条(取得価額等の調整)

 

前条に定めるA種優先株式の基準価額及び取得価額は、以下の定めにより調整される。

 

(1)株式等の発行又は処分に伴う調整
A種優先株式発行後、下記①又は②に掲げる事由により当会社の株式数に変更を生じる場合又は変更を生じる可能性がある場合は、前条の取得価額(以下「取得価額」という。)を、下記に定める調整式に基づき調整する。調整後の取得価額の適用時期は、下記①及び②のそれぞれに定めるところによる。調整額の算定上発生した1円未満の端数は切り捨てるものとする。

①調整前の取得価額を下回る払込金額をもって普通株式を発行又は処分する場合(株式無償割当てを含む。)。但し、A種優先株式の取得請求権の行使、又は潜在株式等(取得請求権付株式、取得条項付株式、新株予約権、新株予約権付社債、その他その保有者若しくは当会社の請求に基づき又は一定の事由の発生を条件として普通株式を取得し得る地位を伴う証券又は権利を意味する。以下同じ。)の取得原因(潜在株式等に基づき会社が普通株式を交付する原因となる保有者若しくは当会社の請求又は一定の事由を意味する。以下同じ。)の発生による場合を除く。調整後の取得価額は、募集又は割当てのための基準日があるときはその日の翌日、それ以外のときは株式の発行又は処分の効力発生日(会社法第209条第1項第2号が適用される場合は、同号に定める期間の末日)の翌日以降にこれを適用する。

②調整前の取得価額を下回る潜在株式等取得価額をもって普通株式を取得し得る潜在株式等を発行又は処分する場合(無償割当てを含む。)。本②にいう「潜在株式等取得価額」とは、普通株式1株を取得するために当該潜在株式等の取得及び取得原因の発生を通じて負担すべき金額を意味するものとし、以下同様とする。調整後の取得価額は、募集又は割当てのための基準日がある場合はその日、それ以外のときは潜在株式等の発行又は処分の効力発生日(会社法第209条第1項第2号が適用される場合は、同号に定める期間の末日)に、全ての潜在株式等につき取得原因が発生したものとみなし、このみなされる日の翌日以降これを適用する。

 


          既発行   当該調整前   新発行   1株当たり
          株式数 ×  取得価額  + 株式数 × 払込金額
調整後取得価額 = ─────────────────────────
               既発行株式数 + 新発行株式数

なお、上記の調整式で使用する「既発行株式数」は、調整後の取得価額を適用する日の前日における、(i)当会社の発行済普通株式数と、(ii)発行済潜在株式等の全てにつき取得原因が当該日において発生したとみなしたときに発行される普通株式数との合計数から、同日における当会社の保有する自己株式(普通株式のみ)の数を控除した数を意味するものとする(但し、当該調整の事由により上記(i)若しくは(ii)の普通株式数又は自己株式(普通株式のみ)の数が変動する場合、当該変動前の数を基準とする。)。
会社が自己の保有する株式又は潜在株式等を処分することにより調整が行われる場合においては、上記の調整式で使用する「新発行株式数」の「新発行」は「処分する」と読み替えるものとする。
会社が潜在株式等を発行又は処分することにより調整が行われる場合においては、上記の調整式で使用する「新発行株式数」とは、発行又は処分される潜在株式等の目的たる普通株式の数を、「1株当たり払込金額」とは、上記②に定める潜在株式等取得価額を、それぞれ意味するものとする。
上記①又は②に定める普通株式又は潜在株式等の発行又は処分が、株主割当て又は無償割当てにより行われる場合は、前条に定めるA種優先株式の基準価額も、取得価額と同様に調整されるものとする。
上記の定めにかかわらず、本号に基づく調整は、(i)A種優先株式の発行済株式総数の●%以上を有するA種優先株主が書面により調整しないことに同意した場合、又は(ii)当会社がストックオプション目的で当会社の取締役、監査役又は従業員に対して新株予約権を発行する場合(但し、新株予約権の1株当たりの行使価額が、当該新株予約権の目的たる株式の時価として合理的に認められる金額以上である場合に限る。)には行われない。

(2)株式の分割又は併合による調整
A種優先株式発行後、株式の分割又は併合を行う場合は、取得価額は以下の調整式に基づき調整される。調整後の取得価額は、株式分割の場合は割当基準日の翌日以降、株式併合の場合は株式併合の効力発生日の翌日以降、それぞれ適用されるものとする。調整額の算定上発生した1円未満の端数は切り捨てるものとする。また、この場合A種優先株式の基準価額も、取得価額と同様に調整されるものとする。

                          1
調整後取得価額 = 当該調整前取得価額 × ──────────
                       分割・併合の比率

(3)その他の調整
上記に掲げた事由によるほか、次に該当する場合には、当会社は取締役会の決議に基づき、合理的な範囲において取得価額及び/又はA種優先株式の基準価額の調整を行うものとする。

①資本減少、時価を超える価格での普通株式若しくは潜在株式等の有償取得、合併、会社分割、株式移転又は株式交換のために取得価額の調整を必要とする場合。

②潜在株式等の取得原因が発生する可能性のある期間が終了した場合。但し、潜在株式等の全部について取得原因が発生した場合を除く。

③潜在株式等にかかる第1号②に定める潜在株式等取得価額が修正される場合。

④上記のほか、当会社の普通株式数に変更又は変更の可能性を生じる事由の発生によって取得価額の調整が必要であると取締役会が判断する場合。

第21条 (普通株式と引換えにする取得)

当会社は、A種優先株式の発行以降、当会社の株式のいずれかの金融商品取引所への上場(以下「株式公開」という。)の申請を行うことが取締役会で可決され、かつ株式公開に関する主幹事の金融商品取引業者から要請を受けた場合には、取締役会の定める日をもって、発行済のA種優先株式の全部を取得し、引換えにA種優先株主に当会社の普通株式を交付することができる。かかる場合に交付すべき普通株式の内容、数その他の条件については、第19条及び第20条の定めを準用する。但し、A種優先株主に交付される普通株式の数に1株に満たない端数が発生した場合の処理については、会社法第234条に従うものとする。

第22条(議決権)

 

A種優先株主は、当会社株主総会及びA種優先株主を構成員とする種類株主総会(以下「A種種類株主総会」という。)において、A種優先株式1株につき1個の議決権を有する。

第23条(株式の分割、併合及び株主割当て等)

 

1.当会社は、株式の分割又は併合を行うときは、全ての種類の株式につき同一割合でこれを行う。

2.当会社は、株主に株式無償割当て又は新株予約権(新株予約権付社債に付されたもの含む。以下本条において同じ。)の無償割当てを行うときは、普通株主には普通株式又は普通株式を目的とする新株予約権の無償割当てを、A種優先株主にはA種優先株式又はA種優先株式を目的とする新株予約権の無償割当てを、それぞれ同時に同一割合で行うものとする。

3.当会社は、株主に募集株式の割当てを受ける権利又は募集新株予約権の割当てを受ける権利を与えるときは、普通株主には普通株式又は普通株式を目的とする新株予約権の割当てを受ける権利を、A種優先株主にはA種優先株式又はA種優先株式を目的とする新株予約権の割当てを受ける権利を、それぞれ同時に同一割合で与える。