コーポレート関連手続
上場企業の方へ
企業は基本的には会社法に基づいて設立され、会社法関連の各種規定を遵守する必要があります。
主要な会社法関連の手続としては、株主総会及び取締役会の運営手続及び議事録等の作成、役員変更、本店移転手続、定款変更などがあり、また、株式関連事項としては、新株発行手続、新株予約権の発行手続、社債発行手続、株式分割等があります。
上場企業においては、コンプライアンスの観点から法令を遵守するべきことは当然ですが、多数の株主がいる関係で、手続に不備があるとその修正に多大なコストがかかる可能性があるため、慎重な対応が要請されます。また、上場会社の場合には、コーポレート手続について、会社法のみならず、金融商品取引法や証券取引所の規則などが関係する可能性もあるため、多面的なチェックを行っていく必要があります。
AZXでは、これらのコーポレート関連手続について、必要な手続の検討、スケジュールの作成、必要書類の作成、登記手続などの対応を行っております。
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株主総会は会社の最高の意思決定機関ですから、何でも決定できると考えてよいのでしょうか。
株主総会であっても、決定できない事項があります。
取締役会を設置しない会社においては、株主総会は、会社法に規定する事項及び株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができますが(会社法第295条第1項)、取締役会設置会社においては、株主総会は、会社法に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができるとされています(会社法第295条第2項)。したがって、取締役会設置会社の場合は、株主総会は何でも決定できるとは限りません。
作成日:2021年12月20日 -
株主総会における「検査役」とはどのような制度でしょうか。
株主総会における「検査役」とは、総会の混乱が予想される場合等に、総会の招集手続と決議の方法の公正を調査し、決議の成否についての証拠を保全するために認められた制度です。株式会社又は一定数以上の議決権を有する株主は、株主総会に係る招集の手続及び決議の方法を調査させるために、当該株主総会に先立ち、裁判所に対し、検査役の選任を申し立てることができるとされています(会社法第306条第1項)。
作成日:2021年12月29日 -
当社の役員及び株主には外国人が多数います。株主総会や取締役会の議事録は英語で作成しても良いでしょうか。
会社法上は、議事録に使用する文字について特に制限されていません。但し、登記実務では、特に外国文字を認める旨の法令規定がない限り、外国文字で作成された議事録は適法とはいえず、そのような議事録が添付された登記は却下するものとされていますので、正式な議事録は日本語で作成し、英語版が必要であれば参考の訳文として作成される方が良いと考えます。
作成日:2021年12月29日 -
株主総会や取締役会の議事録には、役員全員が実印で押印する必要がありますか。
会社法は、議事録に押印する印鑑について特に制限を設けていませんので、認印による押印も会社法上は問題ありません。但し、代表取締役の変更登記に使用する場合など、登記手続との関係において、実印又は法務局へ登録している会社代表印での押印が要求される場合があります。なお、登記に使用しない場合であっても、議事録という書類の重要性に鑑みて、全員認印で押印するのではなく、代表取締役は会社代表印にて押印するのが一般的です。
作成日:2021年12月29日 -
取締役を1名追加したいと考えています。代表取締役となる予定でないため、取締役の就任承諾書への押印は認印で足り、印鑑証明書の添付は不要という理解で良いですか。
取締役会設置会社の場合、代表取締役の就任承諾書へは実印にて押印した上で、印鑑証明書を添付することが登記手続上要求されますが、取締役の就任承諾書についてはこのような制約はありません。
他方で、取締役会を設置しない会社の場合は、取締役の就任承諾書へ実印にて押印した上で、印鑑証明書を添付する必要があります。
作成日:2021年12月29日 -
日本国籍以外の者も代表取締役になることはできますか。
国籍については特に規定はありませんので、外国籍の方も代表取締役になることは可能です。以前の登記実務上は、代表取締役のうち少なくとも1名は日本に住所を有している必要がありましたが、現在その運用は廃止されています。
作成日:2021年12月29日 -
監査役の辞任に伴い後任者を選任しました。定款には、補欠監査役の任期は前任者の任期満了時までとする旨の規定があります。この場合、後任者の任期は前任者の任期を引き継ぎますか。
選任の際に、被選任者は補欠であること(その任期を前任者の任期満了時までとすること)が明示されていれば、「補欠監査役」として、その任期は定款に従い前任者の任期を引き継ぐこととなります。なお、辞任者又は後任者が複数の場合には、誰が誰の補欠であるかを区別して明示する必要があります。
作成日:2021年12月29日 -
事業年度の変更後、最初の定時株主総会を開催します。何か気をつける点はありますか。
前年度の定時株主総会の日に応当する日から著しく離れた日を開催日とする場合には、招集に際してその日時を決定した理由を定め、招集通知に記載する必要があります。なお、「著しく離れた日」がどの程度の差をいうかは、会社の規模や過去の定時株主総会の開催状況などの個別の事情によりますが、例えば1ヶ月以上離れている場合には著しく離れていると考えられています。
作成日:2021年12月29日 -
株主総会において、議案に利害関係のある株主は議決権を行使することができるのでしょうか。
特別の利害関係を有する株主が議決権を行使することは原則として禁止されておらず、そのような株主が議決権を行使し、かつ、著しく不当な決議がされたときに株主総会決議の取消事由になるに過ぎません(会社法第831条第1項第3号)。但し、自己株式の取得に関する決議の場合には、当該株式の保有者である株主の議決権行使は認められていません(会社法第140条第3項、第160条第4項、第175条第2項)。
作成日:2021年12月20日 -
事業年度を変更したいと考えています。株主総会にて定款変更を決議すれば足りますか。
役員の任期について注意が必要です。会社法上、役員の任期は原則として「選任後○年以内に終了する事業年度のうち最終のもの」に関する定時株主総会の終結時までとなっていますが、事業年度を変更することで基準となる事業年度が変わってしまう場合には、事業年度の変更に伴い役員の任期が満了になってしまうことがあり、そのような場合には定款変更手続に加えて、役員の選任手続も必要となります。
作成日:2021年12月29日 - 他の市区町村へ本店移転する場合、移転先の管轄法務局にて類似商号調査をする必要はありますか。
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今月15日に株主総会を開催して本店所在地に関する定款規定を変更した上で、来月1日付で他の市区町村への本店移転を予定していますが、何か注意すべき点はありますか。
定款変更の効力は、原則として株主総会にて承認された時点で生じます。設問の事例の場合、株主総会日から本店移転日までの間に、定款上の本店所在地と実際の本店所在地とが合致しない状態とならないように、定款変更の効力発生日を本店移転日とする旨をあわせて決議されておく方が良いと考えられます。
作成日:2021年12月29日 -
本店移転後、最初の株主総会を開催します。何か気をつける点はありますか。
定款に定められた場所で開催する場合、又は株主総会に出席しない株主全員の同意がある場合を除いて、過去の開催場所のいずれとも著しく離れた場所で開催する場合には、招集に際してその場所を決定した理由を定め、招集通知に記載する必要があります。なお、「著しく離れた場所」については特に明確な基準はありませんが、同一又は隣接する市区町村以外で開催する場合には著しく離れているとして取り扱う方が安全と考えられます。
作成日:2021年12月29日 -
当社には4名の取締役がいますが、そのうち2名の取締役が当日出張となってしまいました。取締役会の日程をずらすことなく、取締役会決議を行う方法はあるのでしょうか。
取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行うこととされています(会社法第369条第1項)。したがって、質問のケースでは、原則として3名の出席が必要であり、あと1名には出席してもらう必要があると考えられます。
この点、取締役間の協議と意見交換が自由にでき、相手方の反応がよく分かるようになっている場合、すなわち、各取締役の音声と画像が即時に他の取締役に伝わり、適時適確な意見表明が互いにできる仕組みになっていれば、テレビ会議システムを利用して取締役会を開催することも可能とされています(平成8年4月19日法務省「規制緩和等に関する意見・要望のうち、現行制度・運用を維持するものの理由等の公表について」)。また、電話会議システムを利用して取締役会を開催することも適法とされています(平成14年12月18日法務省民商第3045号法務省民事局商事課長通知)。したがって、テレビ会議システム又は電話会議システムを利用して取締役会を開催すれば、取締役会の日程をずらすことなく、取締役会決議を行うことができるものと考えます。
なお、取締役の日程があわない場合の対応として、いわゆる書面決議を行うことも考えられますが、書面決議については本問では割愛させていただきます。
作成日:2021年12月20日 -
取締役会において、議題に利害関係のある取締役がいる場合、当該取締役はどのように扱えば良いでしょうか。
取締役会決議の場合には、特別の利害関係を有する取締役は議決に加わることはできないとされています(会社法第369条第2項)。すなわち、取締役会決議の定足数からも決議要件の分母からも除外されることとなります。従って、ある議題について特別の利害関係を有する取締役がいる場合には、当該決議に関して、当該取締役を含めず定足数及び決議要件をカウントすることとなります。なお、議長の取締役が特別の利害関係を有する取締役である場合には、議長としての権限も失うとされていることから、当該議案については別途議長を選任する必要があります。
作成日:2021年12月20日 -
役員にストックオプション(新株予約権)を発行する場合には、会社法に定める新株予約権の募集事項を決議していれば問題ありませんか。
役員に対するストックオプションの付与は、会社法上、報酬等の付与の一形態として整理されています。そのため、新株予約権の発行手続として募集事項を決議するのみでは足らず、役員報酬についての決議も必要となります。
作成日:2021年12月29日 -
役職員に加えて取引先にもストックオプション(新株予約権)を発行したいと考えています。何か気をつける点はありますか。
役職員向けの新株予約権では、役職員の地位の保有など、一定の身分の継続を新株予約権の行使条件として定めるのが通常であるため、その行使条件と矛盾が生じないよう注意した方が良いと考えられます。例えば、役職員の地位がなければ行使できないという条件の新株予約権を取引先に付与すると、当初から役職員の地位を有しない取引先はそもそも行使できないのか、それともそのような条件は当然に適用されず無条件で行使できるのかなど、取扱いが不明確となってしまいますので、注意が必要です。
また、50名以上(6ヶ月の通算規定もあります)に発行する場合、金融商品取引法上の「有価証券の募集」に該当し、原則として有価証券届出書の提出(及びその後の有価証券報告書による継続開示)が必要となります。割当先が役職員のみの場合には、有価証券届出書の提出が免除される例外規定がありますが、役職員以外の者が含まれる場合は免除されない可能性がありますので、この点にも注意した方が良いと考えられます。
作成日:2021年12月29日 -
当社は繰越損失を計上しています。資本金の額を当該損失額分減少することで繰越損失をゼロにできると聞きましたが、会社法上どのような手続が必要ですか。
資本準備金に振り替える場合を除き、資本金を減少すると分配可能額(会社法第461条第2項)が増えることとなりますが、会計上は資本剰余金が増えるに過ぎませんので、資本減少によって当然に繰越損失に充てられることにはなりません。
会社法上は、資本減少と、剰余金の処分(会社法第452条)という2段階の手続を行う必要があります。具体的には、まず資本金の額を減少し、それによって減少額が「その他資本剰余金」に振り替えられます。その上で増加した「その他資本剰余金」を「その他利益剰余金」に振り替えることにより、利益剰余金のマイナスを消すこととなります。資本減少と剰余金の処分はいずれも株主総会決議が必要となるため、同じ株主総会で決議している事例が多く見られますが、会社法上は別の手続ですので注意が必要です。
また、「その他利益剰余金」に振り替えることができる金額については、会計原則上、直近の確定決算における「その他利益剰余金」のマイナス額の範囲に限られるものとされていますので、ご留意下さい。
作成日:2021年12月29日 -
期中の増資により資本金の額が5億円を超えたため、資本金の額の減少を行い、大会社となることを回避したいと考えています。決算期まで1ヶ月を切っていますが可能でしょうか。
資本金の額の減少には、株主総会決議(会社法第447条)に加え、官報公告などの債権者保護手続(会社法第449条)が必要となります。債権者保護手続では、1ヶ月以上の異議申述期間を設定する必要がありますので、官報の申込期間も含めると、2ヶ月程度前から準備する必要があります。したがって、設例においては今期中の減資の実行はできないこととなります。
作成日:2021年12月29日 -
債権者は存在しませんので、資本減少を行うにあたり、債権者保護手続は省略できると考えて良いでしょうか。
債権者保護手続として、所定の事項を官報にて公告し、知れたる債権者へは個別催告を行う必要があります。個別催告については把握する債権者がいなければ省略可能ですが、官報公告については会社の把握していない債権者が存在する可能性もあるため省略することはできません。
作成日:2021年12月29日 -
清算事務の一環として、オフィスの賃貸借契約を解約し、その後の清算事務は清算人の自宅で行いたいのですが、郵便局に転送依頼をしておけば、清算結了まで登記上の本店所在地は旧オフィスのままとしておいて問題ないでしょうか。
郵便局に転送依頼をしていた場合であっても「転送不要」と記載された郵便物は転送されないことや、議事録等の本店での備置義務を果たせないことなどが問題となる可能性がありますので、本店移転登記を行い、登記上と実体上の本店を合致させておく方が望ましいと考えます。
作成日:2021年12月29日 -
当社は、譲渡制限会社(譲渡承認機関は取締役会)ですが、解散することとなりました。清算中に株式譲渡が行われることとなった場合、解散前の取締役会における譲渡承認決議のような手続を行う必要はありますか。
清算会社となっても、株式の譲渡制限に関する定めの効力は停止しない(従前どおり有効)と解されています。但し、清算会社では取締役会は設置し得ないため、定款上取締役会を承認機関としたままでは矛盾が生じてしまいます。そのため、事前に「株主総会」等を承認機関とするための定款変更を行った上で、承認機関において譲渡承認決議を行うことになると考えます
作成日:2021年12月29日 -
清算中における、2ヶ月の債権申出期間中であっても租税債務の支払いは行うことはできますか。
債権申出期間中の弁済は原則と禁止され、一定の債務(少額債権、会社の財産につき存する担保権により担保される債権、その他弁済しても他の債権者を害するおそれがない債権に係る債務)については、裁判所の許可を得て弁済することが例外的に認められます(会社法第500条第2項)。租税債務の支払いについて会社法は別段の定めを設けていませんので、支払う場合には裁判所の許可を得るのが妥当と考えます。
作成日:2021年12月29日 -
債務超過の状態ですが、解散・清算するにあたり通常の清算手続とは異なりますか。
清算会社に債務超過の疑いがある場合には、裁判所の監督下で進められる特別清算の方法で行うこととなります。特別清算は、破産ほど厳格な手続を定めずに関係者の自治を尊重している点で、破産と通常清算との中間的な制度といえます。なお、特別清算を終結させるには、債務の一部カット等を内容とする協定を、債権者集会において可決する必要があり、出席議決権者の過半数かつ議決権の総額の3分の2以上の賛成が必要ですので、このような多数債権者の同意が得られる見込みがなければ、破産手続を検討することになります。
作成日:2021年12月29日 -
債務超過の状態ですが、特別清算を回避して清算する方法はありませんか。
債権者に債権放棄してもらうことが可能であれば、債務超過は解消され、特別清算手続を回避することができます。なお、債権放棄の時期に応じて税務上及び会計上の取扱いが異なる可能性があると考えられますので、債権放棄が可能であってもそのタイミングについては税理士等の専門家のアドバイスも受けながら、慎重に検討される方が良いと考えられます。
作成日:2021年12月29日 - すべてを表示
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