税務・会計サポート

上場企業の方へ

会計の最終目的は利害関係者へ財務状況を報告することにあり、この報告書が一般に決算書と呼ばれます。

決算書は株主総会提出用に限らず、例えば会社内部の業績管理、税務申告、投資家向け開示資料など実務上様々な使途があります。このため、決算書は会社法や会計基準に準拠した上で作成されることが重要になります。また、決算内容の開示が求められる上場会社では、常に税額算定と税効果会計の適用判断が合わせて必要となり、税務も考慮した上での適正な決算業務が求められます。

しかしながら、近年においては会計と税務の処理に乖離が生じる事項も多く、その対応を誤ると、決算書の数値自体に影響を及ぼしてしまうリスクがあります。従って、税務の取扱いに関しては会計処理との差異について常に念頭に置いておくことが重要です。

AZXでは、月次決算や四半期決算の過程において、税務・会計上のアドバイスを行っており、的確かつスピーディーな決算業務をお手伝いすべくサポートいたします。

関連するナレッジ
  • 組織再編税制の対象となっている行為にはどのようなものがありますか。
    組織再編税制の対象となっている行為は、合併、会社分割、株式交換、株式移転、現物出資及び現物分配です。事業譲渡については、組織再編税制の対象外となっており、通常の取引として時価課税されることとなります。組織再編税制は、適格組織再編に該当する場合と非適格組織再編に該当する場合で税法上の取扱いが異なります。
  • 適格合併と非適格合併の基本的な取り扱いを説明してください。
    (適格合併の場合)
    合併が適格合併に該当する場合には、その合併に係る移転資産負債については、被合併法人から合併法人へ帳簿価額により譲渡されたものとして、移転資産負債に係る含み損益は繰り延べられます。また、被合併法人の株主において合併法人の株式交付を受けることになりますが、合併法人の株式の価額は旧株式の帳簿価額を引き継ぐこととなり、旧株式に係る譲渡損益は繰り延べられます。
    (非適格合併の場合)
    合併が非適格合併に該当する場合には、適格合併と異なり、被合併法人から合併法人に対し、時価による移転資産負債の譲渡が行われたものとして被合併法人において譲渡損益が認識されることとなり、合併法人においては移転資産負債を時価により受け入れ、時価と交付新株等の差額はのれんに計上されます。また、被合併法人の株主においても合併に伴い旧株の対価として時価による新株式等の交付を受けることとなるため、取得した新株式等の価額のうち被合併法人の資本金等の額に対応する金額を超える部分について、みなし配当課税がされるとともに、合併対価として合併法人の株式以外の金銭等の支払いを受けた場合には株式譲渡損益が生じます。
  • 支配関係のある法人グループ内において合併が行われた場合に、当該合併が税制適格となるための要件を説明してください。
    グループ会社内における合併は、100%支配関係(完全支配関係)のあるグループ内における合併と、50%超100%未満の支配関係(支配関係)のあるグループ内における合併とに区分され、税制適格の要件はそれぞれ以下の通りです。
    (100%支配関係のあるグループ内における適格合併)
    次の①又は②のいずれかに該当する場合の合併
    ①被合併法人と合併法人との間に完全支配関係があり、合併に際して合併法人の株式及び合併法人の親会社の株式以外の資産が交付されない合併
    ②同一の者による完全支配関係があり、合併に際して合併法人の株式及び合併法人の親会社の株式以外の資産が交付されず、合併後も同一の者による完全支配関係が継続することが見込まれている合併
    (50%超100%未満のグループ内における適格合併)
    次の①又は②のいずれかに該当する合併で、下記要件A)、B)のいずれも満たすもの
    ①被合併法人と合併法人との間に支配関係があり、合併に際して合併法人の株式及び合併法人の親会社の株式以外の資産が交付されない合併
    ②同一の者による支配関係があり、合併に際して合併法人の株式及び合併法人の親会社の株式以外の資産が交付されず、合併後も同一の者による完全支配関係が継続することが見込まれている合併
    A)従業者引継要件
    被合併法人の合併の直前の従業者のうち、その総数の概ね100分の80以上に相当する数の者が、合併後に合併法人の業務に従事することが見込まれていること
    B)事業継続要件
    被合併法人の被合併事業が、合併後に合併法人において引き続き営まれることが見込まれていること
  • 資本金が1億円以下でも資本金等の額が1億円を超える場合は外形標準課税の対象となるのでしょうか。また、どの時点で適用の有無を判断するのでしょうか。
    外形標準課税の対象となるか否かは、「資本金」が1億円を超えているか否かにより判定することとなります。
    また、その判定は各事業年度終了の日の現況によって判定することとしているため、仮に期首の資本金が1億円を超えていた場合であっても、期末時点で資本金が1億円以下となっていれば、外形標準課税の対象とはなりません。
  • 付加価値割の計算について、福利厚生費は報酬給与に含まれますか。
    報酬給与額には、原則として、所得税において給与所得又は退職所得とされるものが含まれ、所得税において非課税所得、事業所得、一時所得、雑所得とされるものは含まれません。福利厚生費については、原則的には、所得税において給与所得又は退職所得とされないことから、報酬給与額には含まれませんが、名目上福利厚生費とされる場合で、所得税において給与所得又は退職所得として課税される場合には、報酬給与額に含まれますので留意が必要です。
  • 付加価値割の計算について、海外に勤務する社員に支払う給与は報酬給与に含まれますか。
    内国法人が外国において勤務する役員又は使用人に対して支払う給与は、当該使用人等が所得税法上の非居住者であっても報酬給与額となります。なお、所得税法上の非課税手当に相当する額や非居住者が居住する国の法令により定めるところにより非課税となる額などのように、実費弁償性のある手当の額は報酬給与額には含めません。
  • 税制適格ストックオプションにはどのようなメリットがありますか。
    ストックオプションの所得税の課税関係は、税制非適格の場合は、権利を付与された時点では基本的に課税関係は生じませんが、権利を行使した時点において、権利行使時の株式の時価が権利行使価額を超える部分につき、給与所得として総合課税されます。含み益への課税であるため、納税の源泉となるキャッシュの確保が難しい場合もあり、また、最高税率50%(所得税40%、住民税10%、ただし課税総所得金額が1,800万超の場合)が課税される可能性があります。また、その後、その株式を売却した時点において、譲渡価額が権利行使時の時価を超える部分について、譲渡所得として課税されます。
    一方、税制適格要件を満たす場合、所得税の優遇措置が適用されます。すなわち、権利を付与された時点において課税関係が生じない点は同じですが、権利行使時の課税は繰り延べられ、株式売却時において、譲渡価額が権利行使価額を超える部分について譲渡所得税として一括課税されます。譲渡時に課税されるため、納税の源泉となるキャッシュを確保することが容易で、また申告分離課税として税率は上場株式の場合は10%(所得税7%、住民税3%)、非上場株式の場合は20%(所得税15%、住民税5%)が適用されます。このため、税制適格ストックオプションは非適格の場合の課税に比べて大幅に税負担が軽くなる可能性があります。
  • 税制適格ストックオプションの要件を教えてください。
    税制適格ストックオプションの要件は次の通りです。
    ①新株予約権の権利行使は、権利付与決議の日後2年を経過した日から10年を経過する日までの間に行わなければならないこと。
    ②当該新株予約権については譲渡をしてはならないこととされていること。
    ③会社又は子会社の取締役、執行役または使用人等であること。但し、大株主(未上場会社の場合は発行済株式数の1/3を超えて保有する株主、上場会社の場合は発行済株式数の1/10を超えて保有する株主)と大株主の特別利害関係者は除く。
    ④年間の権利行使価額の合計額が1,200万円を超えないこと。
    ⑤1株当たりの権利行使価額は、新株予約権に係る契約を締結した株式会社の株式の当該契約の締結の時における1株当たりの価額に相当する金額以上であること。
    ⑥新株予約権等の行使に係る株式の交付が、会社法に反しないで行われるものであること。
    ⑦金融商品取引業者等との取決めに従い、権利行使により取得する株式の振替口座簿への記載若しくは記録、保管委託又は管理等信託がなされること
  • 法人税法独自の概念であるみなし役員という者に該当すると、役員給与の損金算入などで制限を受けると聞きましたが、みなし役員とはどういった者を指すのでしょうか。
    法人税法上の役員には、法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人だけでなく、みなし役員という法人税法独自の役員も含まれます。みなし役員とは前記の役員以外の者で、次のいずれかに該当する者をいいます。
    (1) 法人の使用人(職制上使用人としての地位のみを有する者に限ります。)以外の者で、その法人の経営に従事しているもの
    (2) 同族会社の使用人(職制上使用人としての地位のみを有する者に限ります。)のうち、次に掲げるすべての要件を満たす者で、その法人の経営に従事しているもの
    ① その会社の株主グループをその所有割合の大きいものから順に並べた場合に、その使用人が所有割合50%超の第一順位の株主グループに属しているか、又は第一順位と第二順位の株主グループの所有割合を合計したときに初めて50%超となる場合のこれらの株主グループに属しているか、あるいは第一順位から第三順位までの株主グループの所有割合を合計したときに初めて50%超となる場合のこれらの株主グループに属していること。
    ② その使用人の属する株主グループの所有割合が10%を超えていること。
    ③ その使用人(その配偶者並びにこれらの者の所有割合が50%超である他の会社を含みます。)の所有割合が5%を超えていること。
  • 法人が有する金銭債権についてどのような事実が生じた場合に貸倒損失として損金の額に算入されるのでしょうか。
    ① 金銭債権が切り捨てられた場合
    次に掲げるような事実に基づいて切り捨てられる金額は、その事実が生じた事業年度の損金の額に算入されます。
    ・会社更生法、金融機関等の更生手続の特例等に関する法律、会社法、民事再生法の規定により切り捨てられる金額
    ・法令の規定による整理手続によらない債権者集会の協議決定及び行政機関や金融機関などのあっせんによる協議で、合理的な基準によって切り捨てられる金額
    ・債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができない場合に、その債務者に対して、書面で明らかにした債務免除額
    ②金銭債権の全額が回収不能となった場合
    債務者の資産状況、支払能力等からその全額が回収できないことが明らかになった場合は、その明らかになった事業年度において貸倒れとして損金算入することができます。
    ③一定期間取引停止後弁済がない場合等
    次に掲げる事実が発生した場合には、その債務者に対する売掛債権について、その売掛債権の額から備忘価額を控除した残額を貸倒れとして損金算入することができます。
    ・継続的な取引を行っていた債務者の資産状況、支払能力等が悪化したため、その債務者との取引を停止した場合において、その取引停止の時と最後の弁済の時などのうち最も遅い時から1年以上経過したとき
    ・同一地域の債務者に対する売掛債権の総額が取立費用より少なく、支払を督促しても弁済がない場合
  • 福利厚生費と交際費の区分について説明して下さい。
    交際費等とは、得意先や仕入先その他事業に関係のある者に対する接待、供応、慰安、贈答などの行為のために支出する費用をいいます。ただし、社内の行事に際して支出される次のような費用は、接待等の行為のために支出するものであっても、役員及び使用人の福利厚生を目的とするものとして交際費等には含まれないものとされています。
    ①創立記念日、国民の祝日、新社屋の落成式などに際し、従業員におおむね一律に、社内において供与される通常の飲食に要する費用
    ②従業員等(従業員等であった者を含みます。)又はその親族等の慶弔、禍福に際して、一定の基準に従って支給される金品に要する費用(例えば、結婚祝、出産祝、香典など)
  • 消費税の簡易課税制度の概要について説明して下さい。
    消費税の納付税額は、原則的には売上げに係る消費税額から仕入れに係る消費税額を控除して計算します。しかし、その課税期間の前々年又は前々事業年度の課税売上高が5千万円以下で、簡易課税制度選択届出書を事前に提出している事業者は、実際の仕入に係る消費税額を計算することなく、課税売上高から仕入控除税額の計算を行うことができる簡易課税制度の適用を受けることができます。この制度は、仕入控除税額を課税売上高に対する税額の一定割合とするというものです。この一定割合をみなし仕入率といい、売上げを卸売業、小売業、製造業等、サービス業等及びその他の事業の5つに区分し、それぞれの区分ごとに次のみなし仕入率を適用します。
    第一種事業(卸売業)90%
    第二種事業(小売業)80%
    第三種事業(製造業等)70%
    第四種事業(その他の事業)60%
    第五種事業(サービス業等)50%
  • 源泉徴収税額表の甲・乙・丙欄の使い分けについて説明してください。
    給与の支払者は、その支払いの際に源泉所得税を徴収しなければなりませんが、その徴収額を計算するときに使用するのが源泉徴収税額表です。源泉徴収税額表は、給与の支給が月給の場合は月額表を、日給・週給あるいは日雇賃金の場合は日額表を使用します。
    月額表は甲欄と乙欄とに区分されており、扶養控除等申告書の提出の有無により使用する欄が異なります。扶養控除等申告書の提出がある場合には月額表の甲欄を使用し、提出がない場合には乙欄を使用します。なお、乙欄は甲欄に比べて徴収税額は割高となっています。
    日額表は甲欄、乙欄、丙欄の三つに区分されています。甲欄と乙欄の区分については、月額表と同様に扶養控除等申告書の有無により使い分けます。また、丙欄は日雇賃金を支給する場合に使用します。日雇賃金とは、日ごとに雇用し、その労働した日に支払う場合で、同一の給与支払者から2カ月以上継続して支払を受けない給与をいいます。なお、日雇賃金に該当する場合には扶養控除等申告書の提出は不要です。
  • 申込書、注文書、依頼書という表題を用いる文書であっても、その記載内容によっては、印紙税の課税対象になるものがあるということですが、具体的にはどんな場合でしょうか。
    契約とは、申し込みと承諾によって成立するものですから、契約の申し込み事実を記載した申込書、注文書、依頼書等は、通常、課税対象とはなりません。しかし、たとえこれらの表題を用いている文書であっても、その記載内容によっては契約の成立等を証する文書、すなわち、契約書になるものがあります。契約の成立等を証する文書かどうかは文書の記載文言等その文書上から客観的に判断するというのが印紙税の基本的な取り扱いですから、申込書等と称する文書が契約の成立等を証明する目的で作成されたものであるかどうかの判断も基本的にその文書上から行うことになります。具体的には、おおむね次の基準に該当するものは契約書として取り扱われています。
    ①    契約当事者の間の基本契約書、規約又は約款等に基づく申し込みであることが記載されていて、一方の申し込みにより自動的に契約が成立することとなっている場合における当該申込書等
    ②    相手方契約当事者の作成した見積書等に基づく申し込みであることが記載されている当該申込書等
    ③    契約当事者双方の署名又は押印があるもの
  • 課税文書に印紙をはることを失念した場合に、どのようなペナルティがあるのでしょうか。
    課税文書に印紙を貼付しなかった場合には、その理由を問わず、通常、過怠税として不足する印紙税額の3倍に相当する金額の徴収を受けることとなります。ただし、税務調査を受ける前に印紙をはっていなかったことを自主的に申し出たときの過怠税は、不足する印紙税額の1.1倍相当額とされています。
  • 債権債務を相殺した事実を証明するために作成した領収書には印紙をはる必要はあるのでしょうか。
    第17号文書に掲げる金銭又は有価証券の受取書とは、金銭又は有価証券の引渡しを受けた者が、その受領事実を証明するために作成してその引渡者に交付する証拠証書をいうものとされています。ところで、一般に債権と債務を相殺した場合において、その事実を証明する方法として領収書を作成することがあります。この領収書は、領収書としての表示がなされていますが、現実には金銭又は有価証券の受領事実はないのですから印紙税法上の受取書には該当しません。しかし、たとえ相殺の事実を証明するために作成される領収書であってもその事実が文書上明らかでないときには、その領収書は文書上は金銭又は有価証券の受領事実を証明しているとみられますので、印紙税法上の受取書に該当することになります。なお、一部の金額については相殺とし、残りの金額を金銭等で受領したことの文書は、その相殺に係るものであることが明らかにされている金額については受取金額には当たらないものとして取り扱われることになります。
  • 印紙税を誤って納付した場合に、還付は受けられるのでしょうか。また、還付が受けられる場合には、どんな手続きが必要でしょうか。
    課税文書に所定の金額を超える印紙をはりつけたり、印紙税のかからない文書に印紙をはりつけたりした場合には、印紙税の還付を受けることができます。還付を受けるには、税務署に用意してある「印紙税過誤納確認申請書」を提出するとともに、印紙税が過誤納となっている文書を提示することが必要です。また、法人の場合には代表者印が必要になります。税務署長は、提示された文書について印紙税の過誤納の事実を確認した場合には、その文書にはられている印紙に「過誤納処理済」等と表示した印を押して返戻するほか、過誤納金を還付することとなります。還付される税金は、銀行口座振込あるいは郵便局を通じての送金となるため、還付金を受け取るまでに若干の日数がかかります。
  • 印紙税の課税文書に該当する契約書の中には契約金額によって税率の異なるものや一定金額未満のものを非課税としているものがありますが、この場合の契約金額とはどういうものをいうのでしょうか。
    契約金額とは、契約の成立等に関し直接証明の目的となっている金額をいいます。直接証明の目的となっている金額とは、契約書において証明しようとする事項についての金額、すなわち、契約の成立についての契約書であれば成立に係る金額を、契約の変更についての契約書であれば変更に係る金額を、契約の補充についての契約書であれば補充に係る金額をいいます。例えば、不動産などの譲渡に関する契約書及び債権の譲渡契約書の場合には次の通りとなります。
    ①売買→売買金額
    ②交換→交換金額
    ③代物弁済→代物弁済により消滅する債務の金額
    ④法人などに対する現物出資→出資金額
    ⑤その他→譲渡の対価たる金額
  • 課税文書であるのに印紙が添付されていない契約書は無効になってしまうのでしょうか。
    印紙税法に基づく印紙貼付の義務と、契約の成立・効力とは別の問題です。よって、印紙を貼付すべき契約書に印紙を貼らなかった場合でも、契約書として無効になるわけではありません。但し、印紙税の納税を怠ると過怠税が課されることになるので注意が必要です。
  • 源泉徴収義務者について説明してください。
    源泉徴収義務者とは、給与や報酬等の支払い時に所得税を源泉徴収して国に納付する義務のある者をいいます。源泉徴収の対象とされている所得の支払者は、会社や協同組合である場合はもちろん、学校・官公庁・個人・人格のない社団・財団であっても、全て源泉徴収義務者となります。
    しかし、個人のうち次の二つのいずれかに当てはまる人は、源泉徴収は不要となります。
    (1) 常時二人以下のお手伝いさんなどのような家事使用人だけに給与や退職金を支払っている人
    (2) 給与や退職金の支払がなく、弁護士報酬などの報酬・料金だけを支払っている人
  • 給与所得者でも確定申告が必要な場合があるといいますが、どのような場合でしょうか。
    給与所得者の大部分は年末調整によって所得税額が確定し、納税も完了しますから、確定申告は必要ありません。しかし、給与所得者でも次のいずれかに該当する人は原則として確定申告をする必要があります。
    ① 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
    ② 1箇所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
    ③ 2箇所以上から給与の支払を受けている人で、主たる給与以外の給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
    ④ 同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人
    ⑤ 災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている人
    ⑥ 源泉徴収義務のない者から給与等の支払を受けている人
    ⑦ 退職所得について正規の方法で税額を計算した場合に、その税額が源泉徴収された金額よりも多くなる人
  • 確定申告により所得税が還付される場合があると聞きましたが、具体的にどのような場合に還付を受けられるのでしょうか。
    次のようなケースでは確定申告書を提出する義務のない人でも、給与等から源泉徴収された所得税額や予定納税をした所得税額が年間の所得金額について計算した所得税額よりも多いときは、確定申告をすることによって、納め過ぎの所得税の還付を受けることができます。この申告を還付申告といい、その年の翌年の1月1日から5年間行うことができます。
    ① 年の途中で退職した人で、年末調整を受けずに源泉徴収税額が納め過ぎとなっている場合
    ② 住宅ローンがある場合(一定要件のマイホームの取得をした場合や特定の改修工事をした場合などに限ります)
    ③ 災害や盗難などで資産に損害を受けた場合
    ④ 一定額以上の医療費を支出した場合
    ⑤ 特定支出控除の適用を受ける場合
    ⑥ 特定の寄付をした場合
  • 日本国内の会社に勤めている給与所得者が、海外の支店などに転勤したり海外の子会社に出向したりする場合の所得税の処理について教えて下さい。
    海外勤務をする場合、出国時において海外滞在期間があらかじめ1年以上の予定であるか又は1年未満の予定であるかに応じて我国での課税関係は次の通りとなります。
    (1年以上の滞在予定である場合)
    海外勤務が1年以上の予定で行われる場合は出国日の翌日から非居住者として取り扱われ、国内源泉所得(所得の発生源泉が国内にあると認められるものに)のみが課税対象となります。従って、海外での勤務に基づいて支給される給与等については日本では課税対象となりません。なお、出国後に支給される給与・賞与が国内の勤務に基づいて支給されるものである場合は、20%の税率で源泉徴収されることとなります。
    (1年未満の滞在予定である場合)
    海外勤務が1年未満の予定で行われる場合は、日本の居住者として取り扱われ、居住者は国内外で生じた所得に対して日本において課税を受けることになります。この場合、現地国で課税された所得税等については二重課税となりますので、確定申告で外国税額控除の適用を受けることにより二重課税を調整することができます。
    ※ 海外勤務者が役員である場合は上記取り扱いと異なります。
  • 相続税はどういった場合にかかりますか。
    相続税は、相続や遺贈によって取得した財産の価額(相続時精算課税の適用を受けた贈与財産の価額を含みます)の合計額から債務や葬式費用などの金額を控除し、さらに相続開始前3年以内の暦年課税の適用を受けた贈与財産の価額を加算した価額が、遺産に係る基礎控除額(5,000万円+1,000万円×法定相続人の数)を超える場合にかかります。
  • どのような財産に対して相続税がかかりますか。
    次の財産に対して相続税がかかります。
    ①    本来の相続財産
    相続又は遺贈により取得した財産の全部です。例えば、現金、預貯金、土地、建物、株式、家具、宝飾品類、自動車、書画・骨董品、事業用資産、著作権などが該当します。
    ②    みなし相続財産
    民法上の相続又は遺贈により取得した財産ではありませんが、経済的価値が同一であることから、相続税法上の擬制により課税することとしている財産です。例えば、生命保険金や死亡に伴う損害保険金、死亡退職金・功労金、生命保険契約に関する権利(被相続人が保険料を負担しており、相続人等が被保険者になっているため、相続発生時には保険事故が発生していない生命保険契約)、定期金に関する権利(郵便年金契約、退職年金契約などの年金の受給権)などが該当します。
    ③    相続開始前3年以内に被相続人から暦年課税に係る贈与によって取得した財産
    ④    生前に被相続人から相続時精算課税に係る贈与によって取得した財産
  • 相続税がかからない財産を教えてください。
    相続又は遺贈によって取得した財産であっても、次のようなものには相続税はかかりません。
    ・墓地・仏壇等(商品、骨董品又は投資の対象として所有しているものを除きます)
    ・公益事業用の財産
    ・相続税の申告期限までに国等に寄付した財産
    ・相続人が取得した死亡保険金や死亡退職金のうち法定相続人1人当たり500万円までの金額
  • 贈与税はどういった場合にかかりますか。
    贈与税の課税方法には、暦年課税と相続時精算課税の2つがあり、一定の要件に該当する場合に相続時精算課税を選択することができます。
    ① 暦年課税
    暦年課税の贈与税は、一人の人が1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残額に対して累進税率(10%から50%)で課税されます。したがって、1年間にもらった財産の合計額が110万円以下なら贈与税は課税されません。なお、この場合、贈与税の申告は必要ありません。
    ② 相続時精算課税
    受贈者が相続時精算課税を選択した贈与者ごとにその年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額から2,500万円の特別控除額を控除した残額に対して一律20%の贈与税がかかります。なお、前年以前にこの特別控除の適用を受けた金額がある場合には、2,500万円からその金額を控除した残額がその年の特別控除限度額となります。

  • 贈与税がかからない財産を教えてください。
    贈与税は原則として贈与を受けたすべての財産に対してかかりますが、次に掲げるような財産については贈与税がかからないこととされています。
    ・法人からの贈与により取得した財産(所得税がかかります)
    ・扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの
    ・公益事業用の財産
    ・個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞などのための金品で、社会通念上相当と認められるもの
    ・相続や遺贈により財産を取得した人が、相続があった年に被相続人から贈与により取得した財産(贈与税ではなく相続税がかかります。ただし、一定の要件に該当する配偶者が受ける居住用不動産の贈与は、この場合でも相続税はかかりません)
    ・直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの
  • 相続時精算課税制度の概要を説明して下さい。
    相続時精算課税制度は贈与時に贈与財産に対する贈与税(2,500万円の特別控除額を超える部分に対して20%)を納め、その贈与者が亡くなった時に、その贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めたその贈与税相当額を控除することにより贈与税と相続税を一体として納税を行う制度です。適用対象者は、贈与者は65歳以上の親(住宅資金贈与の場合は親の年齢は問いません)、受贈者は贈与者の推定相続人である20歳以上の子(子が亡くなっているときには20歳以上の孫を含みます)とされています(年齢は贈与の年の1月1日現在のもの)。なお、相続時精算課税は、受贈者である子それぞれが贈与者である父、母ごとに選択できますが、いったん選択すると選択した年以後贈与者が亡くなった時まで継続して適用され、暦年課税に変更することはできません。
  • 少額資産は申告の対象になりますか。
    少額資産については、取得価額が同じでも償却資産(固定資産税)の申告が必要かどうかは、償却方法の選択によって異なります。
    次の資産は、申告の必要はありません。
    ①  10万円未満の資産のうち、一時に損金算入する資産
    ②  20万円未満の資産のうち、3年間で一括償却する資産
    ③  売買扱いとするファイナンスリース取引に係るリース資産で、取得価額が20万円未満のもの
    なお、租税特別措置法において、中小企業者に該当する法人・個人事業者については、取得価額が30万円未満の減価償却資産を損金に算入できる措置が講じられていますが、この特例は国税に関する制度ですので、償却資産(固定資産税)では適用されません。したがって、この特例により損金算入した資産については、償却資産(固定資産税)の申告が必要となります。
  • 償却資産申告において、リース資産はリース会社とユーザーのどちらが納税義務者となりますか。
    原則としてリース会社が納税義務者となります。ただし、ファイナンス・リースのうち、所有権の移転が当初から決まっている場合(例えば、リース期間経過後にその資産を無償又は名目的な対価により譲渡することが決まっているものや無償と変わらない名目的な再リース料で再リースする条件でリースするもの等)は、ユーザー側が納税義務者となります。
  • 償却資産申告において、所得税法及び法人税法では所有権移転外ファイナンス・リース取引に係る資産については、売買処理としてユーザー側で資産計上することとなっていますが、この資産についてはリース会社とユーザー側のどちらに申告義務がありますか。
    所得税法及び法人税法では平成20年4月1日以降に契約を締結した所有権移転外ファイナンス・リース取引については、売買取引とみなされ、ユーザー側で資産計上し、減価償却を行うこととなっています。しかし、償却資産(固定資産税)は従来と同様に、リース資産の申告義務は資産の所有者であるリース会社にあるため、リース会社に申告義務があります。
  • 株式公開に向けて月次決算体制を整備しようと考えていますが、そのポイントを教えてください。
    次のようなポイントを押さえることが重要となります。
    ①予算統制機能として有用なものであること
    月次の損益状況、財政状態およびキャッシュフローの状況を正確かつ迅速に把握することにより、経営者は現状を認識し予算達成のための施策をタイムリーに行うことができます。
    ②迅速な報告体制を構築すること
    経営環境に適合するためには、タイムリーに正確な状況把握を行うことが必要となります。公開審査上もこのような観点から、遅くとも翌月10営業日前後までに月次決算を完了する体制が要求されます。
    ③タイムリー・ディスクロージャーへの対応を視野に入れること
    公開会社は不特定多数の投資家のために、正確かつ迅速に会計情報を提供する必要があります。月次決算の積み上げが、四半期決算、年度決算につながるため、公開審査では迅速で正確な月次決算の確立が問われることとなります。
  • 月次決算早期化のポイントを教えてください。
    次のような事項がポイントとなります。
    ①スケジュール管理の徹底
    月次決算をスムーズに行うためには、月次決算のスケジュールを作成することが有効です。必要な書類、データ等の入手の締切日を設定する等し、経理部だけでなくそれ以外の部署も含めたスケジュール管理が必要です。
    ②決算業務の標準化
    例えば経費精算の入力作業を各部署に分散させたりする等して、月次決算において各部署で業務が完了できるようにすれば、決算の負担は軽減されます。
    ③日常業務の精度向上
    会計伝票を日々チェックすることにより早期にミスを発見でき、結果的に決算早期化につながります。
    ④概算計上等簡便的手続きの採用
    月次決算では、迅速性が重要です。一定の精度が確保されれば見積り等による概算計上を行うことにより月次決算期間の短縮化を図ることができます。


  • 税効果会計とはどのようなものですか。
    税効果会計とは、税引前当期利益と税金(法人税、住民税及び事業税)とを合理的に期間対応させるために、税金を適切に期間配分する会計手法をいいます。
    税金の計算は、会計上の利益に税法独自の調整計算を加え、その結果算定される税務上の利益(課税所得)に税率を乗じて行われます。この税法独自の調整計算が行われた結果、会計的には、税引前当期利益と税金の額の対応関係が合理的でなくなってしまいます。このため、損益計算書(税効果会計を適用していないもの)の税引後当期利益は、会社の業績や収益力をみるには有用性の乏しい数字となり、同一企業の最終損益の期間比較ができない、異なる企業の最終損益の比較ができない等の不合理が生じることとなります。このような不合理を解消することを目的として税効果会計が導入されています。
  • 資産除去債務に関する会計基準の概要を説明してください。
    資産除去債務とは、有形固定資産の取得、建設、開発又は通常の使用によって生じ、当該有形固定資産の除去に関して法令又は契約で要求される法律上の義務及びそれに準じるものをいいます。例えば、建物を解体する際に条例などで規定されている義務に基づくアスベスト除去費用や、借地契約などで要求される原状回復義務に基づく建物解体費用等が資産除去債務として取り扱われることとなります。
    この資産除去債務を有形固定資産の使用期間にわたって期間配分する手法が資産除去債務に関する会計基準であり、会計処理は次の通りとなります。
    ① 資産除去債務の発生時に、有形固定資産の除去に要する支出額を合理的に見積もり、それを現在価値に割り引いた金額を負債に計上し、負債と同額を関連する有形固定資産の帳簿価額に加えて資産計上します。
    ② 資産計上した除去費用を、減価償却を通じて、その有形固定資産の残存耐用年数にわたって各期に費用配分します。
    ③ 資産除去債務の現在価値と割引前の将来支出額との差額を時の経過による調整額として費用計上するとともに資産除去債務の金額を調整します。
  • 会社法上の計算書類について説明してください。
    会社法上の計算書類は次のもので構成されます。
    ① 貸借対照表
    ② 損益計算書
    ③ 株主資本等変動計算書
    ④ 個別注記表
    これらの計算書類は、その事業年度にかかる会計帳簿に基づき作成しなければなりません。
  • 剰余金の配当等には財源規制があると聞きましたが、具体的にどのような行為が対象となるのでしょうか。
    次に掲げる行為に財源規制があります。
    ①    譲渡承認請求のなされた株式の会社による買い取り
    ②    株主との合意に基づく有償の自己株式の取得
    ③    取得請求権付株式の取得
    ④    取得条項付株式の取得
    ⑤    全部取得条項付種類株式の取得
    ⑥    相続人等に対する売渡し請求による取得
    ⑦    所在不明株式の売却に伴う取得
    ⑧    端株の処分に伴う取得
    ⑨     剰余金の配当
  • 剰余金の分配可能額の算出方法を教えてください。
    剰余金の分配可能額は次の手順により算出します。
    ①    期末日の剰余金の額に、配当等の効力発生日までの剰余金の変動(自己株式の処分差損益、資本金・準備金の減少差益、自己株式の消却額、既に期中に行った配当額、その他法務省令で定めるもの)を反映させ、分配時の剰余金の額を算出する。
    ②    分配時の剰余金の額から自己株式の帳簿価額、自己株式の処分価額その他法務省令で定めるものを控除したもの(および臨時計算書類を作成し、一定の承認を受けた場合は、臨時計算書類の当期純損益を反映させたもの)が剰余金の分配可能額となります。
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