インサイダー取引規制についてのアドバイス

上場企業の方へ

上場会社の株式の取引は、金融商品取引法においてインサイダー取引規制の対象となります。

これは、役員等の個人が上場会社の株式を売買するときのみならず、資本提携や企業買収においても問題となる事項であり、上場会社の株式の移動に際しては、常に検討するべき事項といえます。

インサイダー取引規制に抵触すると、刑事事件となり、コンプライアンス上重大な問題ともなるため、慎重に対応する必要があります。インサイダー取引規制においても、いくつかの例外が定められておりますが、その例外事項への該当性の判断を誤ると重大な結果となる可能性があります。従って、インサイダー取引規制については弁護士等の専門家に確認した方が安全です。

AZXでは、金融商品取引法についての各種アドバイスを行っており、インサイダー取引規制についてもクライアントの皆様からのご依頼に基づきアドバイスを行っております。

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  • インサイダー取引規制の概要を教えて下さい。
    インサイダー取引規制は、大きく、(i)会社関係者等によるインサイダー取引規制、(ii)公開買付者等関係者等によるインサイダー取引規制、(iii)役員及び主要株主の自社株等売買による規制に分けることができます。一般にインサイダー取引規制との用語を使用する場合、(i)のことを意味する場合が多いと考えられます。
    (i)の規制は、大まかにいうと、(ア)会社関係者等が、(イ)その会社の株価に重大な影響を与える重要事実を知って、(ウ)その重要事実が公表される前に、(エ)その会社の株式等の売買等を行うことを禁止することをその内容とします(金融商品取引法第166条)。

  • どのような場合に「公表」があったと認められるのでしょうか。
    (i) 有価証券届出書、発行登録書、発行登録追補書類、有価証券報告書、確認書、内部統制報告書、四半期報告書、半期報告書、臨時報告書、親会社等状況報告書及びこれらの訂正報告書等に重要事実が記載され、公衆の縦覧に供された時点、(ii)2以上の報道機関に対する公開後12時間の経過、(iii)金融商品取引所の適時開示システムにより開示がなされた場合のいずれかの場合に公表があったと認められます(金融商品取引法第166条第4項)。

  • インサイダー取引の対象となるのは株式のみと考えて良いでしょうか。
    インサイダー取引の対象となるのは、「特定有価証券等」であり(金融商品取引法第166条第1項)、株式だけでなく、社債券、新株予約権証券などもこれに含まれます(金融商品取引法第163条)。

  • インサイダー情報となるのは、いつの時点からでしょうか。取締役会決議がなされていなければ問題ないと考えて良いでしょうか。
    金融商品取引法第166条第2項第1号は、「会社の業務執行を決定する機関」が一定の事項(合併等)を行うことについて「決定」したことを重要事実として定めています。
    「会社の業務執行を決定する機関」は、実質的に会社の意思決定と同視されるような意思決定を行うことのできる機関であれば足りるとの判例があります(最高裁平成11年6月10日判決)。
    また、前記判例は、「決定」についても、株式の発行が重要事実となる事案において、「株式の発行それ自体や株式の発行に向けた作業等を会社の業務として行う旨を決定したことをいうものであり、右決定をしたというためには右機関において株式の発行の実現を意図して行ったことを要するが、当該株式の発行が確実に実行されるとの予測が成リ立つことは要しないと解するのが相当である。」と判示しています。
    従って、実質的に会社の意思決定と同視されるような意思決定を行うことのできる機関が決定を行ったような場合には、その実行が確実とまで言えない場合でも、「会社の業務執行を決定する機関」による「決定」があったと判断される可能性があります。

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