株式買取請求についてのサポート

ベンチャーキャピタルの方へ

VCファンドにおいては、投資先企業の事業が計画通り進まず、ファンドの期間満了までにIPO又はM&A等のExitが見込めない場合には、その保有する株式を処分して換金しなければなりません。

また、投資後に隠れた債務が発覚するなど表明保証違反が判明する場合や、投資先企業が投資契約等に違反をする場合もあります。

これらの場合には、経営者に株式の買取りを請求するケースが多く、特に、投資契約違反等に関してはその契約に定める株式買取請求権を行使して強硬に株式の買取りを要請しなければならない場合もあります。

また、投資契約違反等はないものの、会社が合併等の企業再編を行う場合には、会社法上、それに反対する株主に株式買取請求権が発生する場合があり、当該再編行為後の投資先企業の事業の発展の見込みを検討の上、かかる会社法に基づく株式買取請求権を行使する場合もあります。この場合の買取価格については、まずは株主と会社で協議を行うこととなりますが、協議が調わない場合には、裁判所に価格決定の申し立てを行うこととなり、裁判所における商事非訟事件として対応する必要が生じます。

AZXにおいては、投資契約に基づく株式買取請求について、株式買取請求権が認められる可能性を検討の上、実際の買取請求の実行、相手方との交渉、株式買取請求権の行使に基づく買取代金請求のための訴訟及びその前提として仮差押手続などについて、サポートしております。また、合併等の企業再編に関して会社法上の株式買取請求権の行使についてのアドバイス、その後の価格決定の裁判手続などについてもサポートしております。

関連するナレッジ
  • 投資先の会社による株式の買取りに関して、買取価格を投資先の会社との協議で決めることにした場合、何か問題はあるでしょうか。
    協議で決めるという規定は、契約書においてしばしばみられる規定です。しかし、協議が調わなかった場合、その効果が定められていないと、当該協議に基づくとされている事項についての権利を行使できない可能性が高いと考えられます。質問のケースでも、投資先の会社との間で、買取価格の協議が調わなかった場合、買取請求権を行使できない可能性があります。したがって、株式の買取価格を協議で決めるとした場合、協議が調わなかった場合に株式の買取価格がどのように決まるのかについても定めておいた方がよいと考えられます。
  • ファンドの満期との関係で、一定時期までに株式公開しなかった場合に株式の買取を投資先の会社に義務付けることは可能でしょうか。
    一定時期までの株式公開を投資先の会社が実現できなかった場合に会社に株式の買取を義務付けることは可能です。具体的には、投資先の会社との間で締結する投資契約等に、このような株式公開の義務と違反した場合の株式買取義務を定めることになります。但し、株式公開までの期間について、あまりにも不合理な期間を定めた場合、投資先の会社から権利濫用や信義則違反である旨の主張を受けて当該規定が無効とされる可能性があり、またそのような契約内容を強いることはレピュテーション低下の問題もはらむため、株式公開までの期間については、合理性のある期間を定めた方がよいと考えます。
  • 投資先に表明保証違反があったことが発覚しました。表明保証違反を理由に損害賠償を請求することはできるでしょうか。
    表明保証違反については、その法的性質に争いがあります。代表的な考え方として、債務不履行責任と捉える考え方と特約に基づく担保責任の一種と捉える考え方があります。このうち、債務不履行責任という考え方を前提とすると、契約において特別の定めがなくとも表明保証違反を理由に損害賠償を請求できるという考え方に結びつきやすくなります。他方、特約に基づく担保責任の一種という考え方を前提とすると、契約において特別の定めがなければ表明保証違反があっても損害賠償を請求できないという考え方に結びつきやすくなります。表明保証違反の法的性質については、法律に定めがあるものではなく、また確定的な見解が存在しているものでもありませんので、どのような考え方になっても対応できるよう、契約において表明保証違反があった場合の効果(解除や損害賠償等)を明確に定めておいた方がよいと考えます。
  • 投資先の会社が粉飾決算や法令違反行為をしている場合に、それを理由に株式の買取を請求することができるでしょうか。
    投資先の会社に対して株式の買取を請求するためには、当該会社との間で株式の買取について合意をしておく必要があります。通常は、投資契約において株式買取請求権として定められているケースが一般的ですが、この場合、粉飾決算や法令違反行為が買取事由として定められていれば、株式買取請求権を行使することが可能です。株式買取請求権の行使事由として、粉飾決算や法令違反行為を具体的に定めていない場合であっても、投資契約において会社に適正な決算や法令遵守の義務を課している場合において、投資契約違反が行使事由となっていれば、当該行使事由への該当を理由に買取請求権を行使することが可能となります。但し、発行会社自体に対する買取請求については、発行会社による自己株式の取得となるため、会社法上の財源規制や手続規制を受けることになります。また、軽微な決算の誤りや法令違反の場合には、買取請求権の行使が権利濫用として制限される可能性もあると考えられます。
  • 投資先と事前協議をすることになっていた事項について、投資先が協議をしただけで何も決まっていないのに勝手に事前協議事項を実行しています。これは事前協議の約束違反でしょうか。
    協議事項については、契約で協議をする旨のみが定められ、当事者間の合意を要する旨が明確に定められていない場合、協議さえすれば協議が調っていなくとも当事者は協議事項について実行可能と解釈する余地があり、必ずしも事前協議の契約違反とは評価されない場合がありえます。従って、契約で協議をする旨を定める場合は、併せて当事者間の合意を要する旨も定めておいた方がよいと考えます。
  • 会社があるVCから自己株式を買い取る場合、会社法上、どのような手続や制約がありますか。
    会社が特定の株主から自己株式を取得する場合、取得する株式の種類及び数、株式を取得するのと引換えに交付する金銭等の内容及びその総額、株式を取得することができる期間、当該特定の株主に対する通知等について、原則として株主総会での特別決議を得る必要があります(会社法第156条、第160条第1項、第309条第2項第2号)。また、かかる決議にあたっては、当該特定の株主以外の株主に自己を売主に追加することを請求する権利が生じ、かかる株主に対して、かかる請求をなし得る旨を通知しなければなりません(会社法第160条第2項)。さらに、自己株式を取得するのと引換えに交付する金銭等の総額について、取得の効力が生ずる日における分配可能額を超えてはならないという制限があります(会社法第461条第1項第2号)。自己株式の取得については、会社法上、このような手続規制と財源規制があることに注意が必要です。
  • 一定の定款変更、組織再編等が行われる場合において、株式の買取請求権を行使した場合に、株式の公正な買取価格はどのように決定されますか。
    原則として当事者間の協議で決定されることとなりますが、協議が調わない場合には、一定の期間内に裁判所に対して買取価格決定の申立てを行い、裁判所の決定に委ねることも可能です。
    なお、裁判所の決定に委ねる場合、「公正な価格」とは、買取請求の原因となった組織再編等によって企業価値が増加する場合にはシナジーを反映した価格を、企業価値が減少する場合には組織再編等が「なかりせば」の価格を意味するとの見解が有力のようですが、最終的には裁判所が個別に判断することとなります。
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