投資先のサポート等に関するアドバイス
ベンチャーキャピタルは、いわゆる“ハンズオン”を標榜するか否かにかかわらず、投資実行後、投資先企業の情報を継続的に収集してファンドのGPとして必要な範囲で投資先のサポート等を行い、投資先で問題が生じた場合には、それをクリアーするにはどうするかという点について検討し、投資先が事業計画に沿って事業を発展させるように尽力しています。
その過程で、法務、会計、特許その他の知的財産、労務の問題が生じる場合もあり、その解決には法務等の専門知識が必要となる場合もあります。
ベンチャーキャピタリストは、法務等のスペシャリストではなく、それを自ら解決するべき責任まであるわけではありませんが、その問題が解決しないと投資先企業の事業の発展が難しくなり、ひいては自らが管理運営するファンドの収益低下につながるため、問題を発見した場合には、専門家に対する相談、専門家の紹介等を通じて問題解決に努めていくこととなります。
また、投資先がM&AやIPOを実行する場合に、ベンチャーキャピタルとしてどのような点を留意して行動すべきかという点については、当該事案のスキームや当該ベンチャーキャピタルの持株比率、投資契約等の内容に応じて慎重に検討する必要があります。これらの点については、法務や税務会計の面から採り得る現実的な選択肢、各選択肢のメリット・デメリットなどを分析する必要があります。
AZXでは、弁護士、公認会計士、税理士、弁理士、社会保険労務士によりワンストップで法務、会計、特許その他の知的財産、労務に関するアドバイスをすることが可能であり、ベンチャーキャピタルの皆様が投資先をサポート等する上で直面した課題について、これらの面からアドバイスを提供しております。
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投資先の全株式の買収の話がありますが、少数派の株主が反対していて実行できません。何か手段はないものでしょうか。
このような場合の典型的な対応方法は、買収企業と投資先との間で株式交換を実施してもらい、100%買収を実現する方法であり、原則として投資先では総会の特別決議があれば実施できます。また、全部取得条項付き種類株式等を利用したスクイーズアウトのスキームによって、少数株主に現金を交付して100%買収を実現することが考えられます。
株式の売買の方法による100%買収については、基本的に全株主の同意が必要です。そのため、このような場合に備えて、予め全株主間で株主間契約を締結し、一定要件を満たす買収提案時には売却義務を負わせる合意(いわゆる共同売却合意)をしておくことが望ましいと考えられます。
なお、2015年5月施行の改正会社法では、大要、持株比率90%以上の株主の請求とこれに対する発行会社の承認によって100%買収を実施できる制度(株式等売渡請求)が新設されましたので、要件を満たす場合にはこの制度も活用可能です。
作成日:2021年12月20日 -
投資先が多数株主の意向で他の会社に吸収合併されるようです。当社は優先株を保有していますが、合併によって優先権が失われてしまうのでしょうか。
優先株主に対してどのような合併対価が割り当てられるかは、合併契約の内容によるため、多数株主の意向で決定されることになります。但し、優先権を剥奪するような合併条件の場合には、当該優先株主の種類株主総会の決議が必要となります(会社法第322条)。なお、このような事態を想定し、株主間契約において買収時における優先受領権(買収対価として一定額が優先株主に優先して交付される旨の定め)を合意しておくことが望ましいと考えられます。
作成日:2021年12月20日 -
投資先の会社の社長には、投資後一定期間は社長職を辞めてもらっては困るので、社長職からの退任を制限したいのですが、何か方法はあるでしょうか。
方法としては、投資契約において一定期間の退任禁止を義務づけた上で、違反した場合に社長に株式を買い取ってもらう等のペナルティを設ける方法が考えられます。なお、社長から株式を譲り受ける形で投資するようなケースであれば、退任禁止期間に応じて当該株式の譲渡代金を分割払いにして途中で退任した場合はそれ以降の分割金の支払義務を消滅させたり、退任禁止違反の場合に在任期間に応じて金額を減額して当該減額分の返金を受ける等により、株式譲渡代金を調整するという形で、社長職に留まってもらうことの動機づけとする方法も考えられます。
作成日:2022年01月12日 - すべてを表示
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