資金調達サポート
未上場企業が事業を発展させるには、その発展の過程で、何らかの形で資金調達を行うのが通常です。
資金調達については、大きく分けて、借入(ローン)や社債を中心としたデッド・ファイナンスと、新株発行に基づく増資など資本を増強するエクイティ・ファイナンスがあります。また、中間的なものとして、社債を株式に転換できる新株予約権付社債などがあります。
特に、ベンチャー企業の場合には、借入金の返済負担が成長の妨げになるケースもあることから、株式等で資本を増強するケースが一般的には多いです。企業側としては、将来の発展を見据えた資本政策を立てるとともに、その資本政策に沿って具体的なファイナンスを実行していく必要があります。
ベンチャーキャピタルからの投資を受ける際には、普通株式だけではなく、種類株式や新株予約権付社債を要求される場合もあり、その際には各種条件の設計を慎重に行う必要があります。特に、新株予約権付社債は、会社法について社債管理者の要否や現物出資規制の問題があり、また金融商品取引法に対応した設計にする必要があるので注意が必要です。また、投資家から投資契約や株主間契約の締結を求められるのが通常であり、その契約条件については、きちんとその意味を理解して、後に想定外のことが起こらないように対応する必要があります。
AZXでは、長年にわたりベンチャー・ファイナンスのサポートをしており、過去にいろいろな種類のスキームに関与しております。具体的には、資本政策についてのアドバイスを行うとともに、種類株式や新株予約権付社債の設計及びその発行手続をサポートし、投資家との間の投資契約や株主間契約について作成、レビュー及び交渉等をサポートしております。
-
新株発行の手続書類の雛型はありますか。
新株発行の手続書類の雛型については、下の「新株発行の手続書類(雛型)」をクリックしてください。
新株発行の手続書類(雛型)
また、AZX総合法律事務所が運営する契約書自動作成システム『契助-KEISUKE-』にて、新株発行の手続書類を自動作成(有料)することもできますので、是非ご利用下さい。
作成日:2022年01月13日 -
多数の知り合いに株式を発行する予定です。上場会社の株式の発行については金融商品取引法が適用されると聞きましたが、上場前の会社には金融商品取引法は無縁だと考えて良いでしょうか。
金融商品取引法は、金融商品の規制を定めた法律であり、上場会社のみを規制対象としているわけではありません。特に、株式、新株予約権、新株予約権付社債等を発行する場合において、「有価証券の募集」(金融商品取引法第2条第3項)を行っていると判断される場合には、原則として有価証券届出書の提出義務(同法第4条第1項)やそれに伴う有価証券報告書の提出義務を課されることとなるため(同法第24条第1項第3号)、上場前であっても、金融商品取引法上の規制には気を付ける必要があります。これらの開示書類の作成負担は非常に大きく、特に有価証券報告書継続的に開示するものであるため、非上場会社が現実的に対応することは困難です。よって、上場前に「有価証券の募集」に該当する行為を行うことは避ける必要があると考えます。
作成日:2022年01月13日 -
会社に出資してくれるベンチャーキャピタルと投資契約を締結するにあたっては、どんな点に注意すればよいのでしょうか?
ベンチャーキャピタルと投資契約を締結するにあたっては、いくら投資を受けたい場合であっても、何ら内容を検討せずにサインすべきではありません。必要に応じ、弁護士と相談のうえで、交渉すべき点は交渉した上で締結すべきです。具体的には、①投資の基本条件が希望とあっているか、②投資の前提条件が投資実行段階までに満たすことができる内容であるか、③表明保証の内容は保証可能な内容であるか、④会社のコントロールについての事項(取締役の派遣、事前同意事項等)が受け入れ可能であるか、⑤株式の移動の際の制限が受け入れ可能か、⑥投資の撤退時のルール(買取請求など)が不当に厳しくないか等をひとつひとつ検討していくべきこととなると考えます。
作成日:2022年01月13日 -
取締役個人の持っている資産を出資してもらい、株に変えたいが、どんなことに注意すればよいのでしょうか?
募集株式の発行の際に、金銭以外の財産を出資することを現物出資といいます。取締役個人の持っている資産を出資して株に変えようとする場合、この現物出資にあたります。
現物出資においては、「株」の対価に見合った財産が出資されたかを検証するため、会社法第207条に基づき裁判所が選任した検査役による検査が原則として必要となるものの、総額が500万円を超えない場合等一定の場合には、例外として検査役の検査が不要となります。検査役による検査が必要となる場合、裁判所への選任申立手続、検査役の報酬等、時間と費用がかかるため、検査役による検査を回避することができるのであれば、回避した方が良いと考えます。それゆえ、検査役の検査が不要となる例外事由に該当するのか、例外事由に該当しない場合は、それでも現物出資を行うのかを検討された方が良いと考えます。
作成日:2022年01月13日 -
デット・エクイティ・スワップ(DES)とはどのような手続ですか。
会社に対する金銭債権を有する者が新株を引き受け、当該引受人が金銭の払込みに代えて当該債権を現物出資するスキームを指します。結果として、債務(デット)と株式(エクイティ)が交換(スワップ)された形となるため、このように称されています。
作成日:2022年01月13日 -
取締役への借入金の返済や未払報酬の支払いに代えて株式を発行することは可能ですか。また、この場合に気をつける点は何ですか。
債権者である取締役が、金銭の払込みに代えて会社に対する金銭債権を現物出資し、新株式の割り当てを受ける方法があります。現物出資には原則として検査役の検査が必要となりますが、その手続は煩雑であるためこれを回避するのが通常です。回避するための要件はいくつかありますが、会社に対する金銭債権を現物出資する場合の代表的な要件としては、(i)当該金銭債権の弁済期が到来済であって、(ii)募集事項として定める現物出資財産の価額が、当該金銭債権に係る負債の帳簿価額を超えないことという要件(会社法第207条第9項第5号)を満たすことで、検査役の検査を回避することが可能です。
作成日:2022年01月13日 -
外国人から出資を受けますが、会社において通常の新株発行と異なる手続が必要となりますか。
当該外国人が非居住者である場合には、「非居住者から本邦へ向けた支払の受領」として、外為法に基づく事後報告を日本銀行に対して行う必要があります(外為法第55条)。但し、受領する額が3000万円相当額以下(一定国からの支払受領の場合の例外あり)の場合には報告不要です。なお、出資する側の対内直接投資の規制については、Q00163をご確認下さい。
作成日:2022年01月13日 -
外国人から出資を受けますが、出資する外国人の方で通常の新株発行と異なる手続が必要となりますか。
当該外国人が非居住者である場合には、外為法上の「対内直接投資」に該当します。対内直接投資については、外国投資家の国籍が一定国の場合など事前届出が必要となる特殊な場合を除いて、日本銀行に対して事後報告を行う必要があります。但し、外国投資家の出資比率が、配偶者や関連会社など特別の関係にある者の所有株式数とあわせて10%未満の場合には事後報告も不要となります。
作成日:2022年01月13日 -
新株予約権付社債(CB)を発行する際に、金融商品取引法の関係で注意が必要と聞いたのですが、それはどのようなことでしょうか。
CBの発行が金融商品取引法上の「有価証券の募集」に該当する場合、原則として有価証券届出書の提出(及びその後の有価証券報告書による継続開示)が必要となり、会社にとって多大な負担となるため、「有価証券の募集」に該当しないような内容に設計した方が良いです。このためには、勧誘対象人数を49名以下とする(6ヶ月間の通算規定あり)という通常の要件のほかに、CB固有の非募集要件の充足が必要となります。
適格機関投資家でない一般投資家を相手方とする場合、具体的には、(i)一括譲渡以外の譲渡禁止という転売制限を付した上で、新株予約権付社債券に記載するなど権利者等に周知させる手続がとられること、又は(ii)新株予約権付社債券の枚数(証券不発行の場合は新株予約権付社債の単位の総数)を50未満(「同一種類の有価証券」の6ヶ月の通算等の例外あり)とし、かつ分割制限を付した上で、新株予約権付社債券に記載するなど権利者等に周知させる手続がとられることという要件を満たす必要があります(金融商品取引法施行令第1条の7第2号ロ(4))。
作成日:2021年12月29日 -
社債を発行する場合には社債管理者というものを設置するという話を聞いたのですが、新株予約権付社債(CB)を発行するにあたって、社債管理者を設置しないためにはどのような要件を満たす必要があるのでしょうか。
各社債の金額が1億円以上である場合(会社法第702条但書)、又は社債の総額を各社債の金額の最低額で除した数が50を下回る場合(会社法第702条但書、会社法施行規則第169条)には、社債管理者を設置する必要はありません。実務上は、後者の場合に該当するよう設計することが多いものと考えられます。
作成日:2021年12月29日 -
新株予約権付社債(CB)は通常、新株予約権の行使に際して社債を出資することとなっています。これはいわゆる現物出資として、検査役による調査が必要にならないのでしょうか。
ご指摘のとおり、現物出資として検査役の調査が問題となりますが、一定の例外規定があり、検査役の調査が必要ないようにCBを設計するのが通常です。具体的には以下のような例外があり(会社法第284条第9項)、実務的には、下記第2号に鑑み、新株予約権の1個あたりの行使価額が500万円以下になるように設計するケースが多いようです。
第1号…行使された新株予約権の権利者が交付を受ける株式総数が発行済総数の1/10を超えない場合
第2号…現物出資財産について定められた現物出資の価額の総額が500万円を超えない場合
第5号…現物出資財産が会社に対する金銭債権(弁済期が到来しているものに限ります。)であって、当該金銭債権について定められた現物出資の価額が当該金銭債権にかかる負債の帳簿価額を超えない場合
作成日:2021年12月29日 -
当社は普通株式と優先株式を発行していますが、複数種類の株式を発行していることに伴い、株式分割を行う場合に特に気をつけることは何ですか。
会社法上の留意点としては、(i)全ての種類の株式について同時に同一割合で分割する場合であっても、法律上は株式の種類ごとに分割が行われるため、種類ごとに分割決議が必要となること(第183条第2項)、(ii)取締役会の決議で発行可能株式総数を拡大することができないこと(第184条第2項)、(iii)ある種類株主に損害を及ぼすおそれがある場合には、種類株主総会の決議も必要となること(第322条第1項第2号)、(iv)種類株主総会の決議を排除している場合には、反対株主の株式買取請求権が生じること(第116条第1項第3号イ)などが考えられます。
その他の留意点としては、種類株式の内容として、定款に株式分割に関連する条項が定められていないか確認する必要があります。具体的には、(i)優先配当額や普通株式への転換比率などの調整事由に該当しないか、(ii)拒否権としての種類株主総会決議の対象となっていないか、(iii)全ての種類の株式について同時に同一割合で分割するというように、分割についてのルールが定められていないかなどを確認する必要があります。
作成日:2022年01月13日 -
当社の発行している新株予約権は、株式分割を行う場合には、目的たる株式数及び行使価額について調整する内容となっています。調整式は登記されていますが、株式分割後の数及び金額とするための変更の登記も必要でしょうか。
調整式が登記されていれば数値を当てはめることで計算できるため、調整の都度、登記申請は不要との見解もありますが、公示の目的を達成するためには、現在の数及び金額が登記されるように、登記申請した方が良いと考えられます。なお、「当初○株」や「当初○円」のように記載され、発行当初の数及び金額のみを表示していると言える場合には、株式分割等で調整されても「当初」の数及び金額について変更は生じませんので、登記の必要性は低いと考えられます。
作成日:2022年01月13日 - すべてを表示
役立つサービス
活動される皆さまのために「雛型」を公開しております。また、AZX総合法律事務所が運営する契約書自動作成システム『KEISUKE』にて、契約書を自動作成(有料)することもできますので、是非ご利用下さい。