コーポレート関連手続
スタートアップ・ベンチャーの方へ
企業は基本的には会社法に基づいて設立され、会社法関連の各種規定を遵守する必要があります。
主要な会社法関連の手続としては、株主総会及び取締役会の運営手続及び議事録等の作成、役員変更、本店移転手続、定款変更などがあり、また、株式関連事項としては、新株発行手続、新株予約権の発行手続、社債発行手続、株式分割等があります。
非上場企業においては将来のIPOやM&Aにおいて支障が生じないよう慎重に対応する必要があります。株式譲渡の手続の不備や違法な自己株式取得がIPOの重大な支障となるケースもあるので、IPOを目指す場合には特に弁護士と確認して対応することが重要です。
特に、種類株式の発行等の複雑な手続や会社法のみならず金融商品取引法等他の法令とも関係する手続については、企業法務に精通した弁護士で対応する必要があります。
AZXでは、これらのコーポレート関連手続について、必要な手続の検討、スケジュールの作成、必要書類の作成、登記手続などの対応を行っております。
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- 定時株主総会の関連書類の雛型はありますか。
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当会社は、非公開会社ですが、新株予約権の行使条件などを発行後に変更することはできるでしょうか?
新株予約権の変更を行う場合には、基本的に、①新株予約権の発行決議をした機関において、当該新株予約権の内容を変更する旨の決議、及び、②新株予約権者全員の同意が必要とされています。かかる手続はイレギュラーなものであり、また、変更に伴って登記手続も必要となりますので、具体的な手続を行う場合には、弁護士等の専門家にご相談いただいた方が良いと考えられます。
作成日:2021年12月29日 -
当社は非公開会社であり、株主総会決議と取締役会決議を経て従業員に発行した新株予約権があります。従業員と締結している新株予約権割当契約書には、当会社の上場までは行使できない旨の特約を定めたのですが、契約を変更してこの特約を撤廃したいです。割当契約書は取締役会で承認したものなので、取締役会の決議があれば変更は可能でしょうか。
最高裁判所は、株主総会決議により新株予約権の行使条件の決定を取締役会に委任した事案において、「取締役会が株主総会決議による委任を受けて新株予約権の行使条件を定めた場合に、新株予約権の発行後に上記行使条件を変更することができる旨の明示の委任がされているのであれば格別、そのような委任がないときは、当該新株予約権の発行後に上記行使条件を取締役会決議によって変更することは原則として許されず、これを変更する取締役会決議は、上記株主総会決議による委任に基づき定められた新株予約権の行使条件の細目的な変更をするにとどまるものであるときを除き、無効と解するのが相当である。」との判決を下しました(最高裁平成24年4月24日判決)。
かかる判例を前提とすると、ご質問のケースの特約は細目的な変更とは言い難いと考えられるため、取締役会でかかる特約を変更することは無効と判断される可能性が高いと考えられます。なお、上記の判例は商法ベースのものであり、会社法では別の考慮が必要となる可能性もあるため、ご質問のケースのように契約内容の変更を行う場合には、弁護士等の専門家にご相談いただいた方が良いと考えられます。
作成日:2021年12月29日 -
株主総会は会社の最高の意思決定機関ですから、何でも決定できると考えてよいのでしょうか。
株主総会であっても、決定できない事項があります。
取締役会を設置しない会社においては、株主総会は、会社法に規定する事項及び株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができますが(会社法第295条第1項)、取締役会設置会社においては、株主総会は、会社法に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができるとされています(会社法第295条第2項)。したがって、取締役会設置会社の場合は、株主総会は何でも決定できるとは限りません。
作成日:2021年12月20日 -
当社は非公開の取締役会設置会社です。3月30日に定時株主総会を開催する場合、招集通知はいつまでに発送すれば良いですか。
株主総会日の1週間前までに発送する必要があります。なお、1週間前とは、中1週間(中7日)を意味しますので、設例の場合には、3月22日が発送期限となります。また、1週間前の日が土日祝日である場合には、その前の平日までに発送する必要があると考えられます。
作成日:2021年12月29日 -
当会社は非公開会社ですので、株主総会に際して議決権を行使できる株主を特定するための基準日は設定していません。招集通知発送後に株式譲渡又は新株発行が行われ株主が変動したのですが、どのような手続が必要となりますか。
基準日を定めない場合、株主総会当日における株主名簿上の株主が議決権を行使できる株主となります。したがって、ご質問のケースでは株式譲渡又は新株発行により新たに株主となった者に対しても招集通知を発送する必要があると考えられます。なお、当該新株主に対しては法定の招集期間が確保できないことが考えられ、このような場合にはそれもやむを得ないと考えられているようですが、明確な判例等があるわけではないため、念のため当該新株主からは招集期間短縮の同意を得ておく方が確実と考えられます。
作成日:2021年12月29日 -
当社は非公開の取締役会設置会社ですが、B/S等の決算書類についての監査役の監査は定時株主総会の10日前頃に終了しそうです。会社法上このようなスケジュールでは問題ありますか。
取締役会設置会社においては、監査役の監査済の決算書類を取締役会で承認し、取締役会の承認を受けた決算書類を定時株主総会の2週間前から備え置く必要がありますので(会社法第442条第1項、第2項)、設問の事例では備置期間が確保できず、過料の対象となってしまいます(会社法第976条第8号)。
作成日:2021年12月29日 -
定時株主総会の招集通知で参考書類という書類に議案を記載しているケースが多いのですが、当社のような非公開会社でもそのような書式で作成する必要があるのでしょうか。
株主が1000人以上である場合や、上場会社が委任状の勧誘をするケースでは、会社法又は金融商品取引法に基づくルールにより、一定の記載事項を満たす参考書類を作成して株主に提供する必要がありますが、通常の非公開会社の場合の場合は原則として参考書類の作成義務はありません。実務上、招集通知に参考書類というタイトルの書面を編綴し、そこに議案の内容を記載する例も多く見受けられますが、そのような体裁をとることが法的に求められている訳ではありません。
作成日:2021年12月29日 -
株主提案権とはどういうものでしょうか。
一定の要件を満たす株主が、一定の事項を株主総会に諮るよう取締役に請求することができる権利をいいます。例えば、開催が予定されている定時株主総会において、会社側では予定していない取締役の1名追加といった議題を、株主総会の議題にするよう求め(会社法303条)、その具体的な議案の要領を招集通知に記載するよう求める(同法305条)ことを指します。取締役会設置会社においては、原則として総株主の議決権の1%又は300個以上の議決権を6ヶ月以上継続保有する株主にこの権利が認められ、株主総会日の8週間前までに請求することが必要となります(公開会社でない場合は6ヶ月の継続保有は不要です。)。
作成日:2021年12月29日 -
株主提案権の行使は株主総会の8週間前までに請求するものとされていますが、総会当日に議案の修正案を株主から提案されたときには会社は無視できるのでしょうか。
いわゆる株主提案権とは会社法303条、305条に基づく新たな議題・議案の提案の権利を指し、会社が予定している議題の具体的な議案について修正案や対案を出すことは、いわゆる修正動議の提出として総会の場でも行うことが可能です。例えば、取締役3名選任という議題について会社が用意した候補者3名の議案に対して、株主が異なる3名を提案することは、修正動議として認められるため、会社はこれを審議しなければなりません(会社法304条参照)。但し、株主が同じ議案を過去に提示したことがあり、議決権の10%以上の賛成を得られなかった日から3年を経過していない場合は、会社はそれを取り上げる必要はありません。
作成日:2021年12月29日 -
株主総会における「検査役」とはどのような制度でしょうか。
株主総会における「検査役」とは、総会の混乱が予想される場合等に、総会の招集手続と決議の方法の公正を調査し、決議の成否についての証拠を保全するために認められた制度です。株式会社又は一定数以上の議決権を有する株主は、株主総会に係る招集の手続及び決議の方法を調査させるために、当該株主総会に先立ち、裁判所に対し、検査役の選任を申し立てることができるとされています(会社法第306条第1項)。
作成日:2021年12月29日 -
株主総会において、議案に利害関係のある株主は議決権を行使することができるのでしょうか。
特別の利害関係を有する株主が議決権を行使することは原則として禁止されておらず、そのような株主が議決権を行使し、かつ、著しく不当な決議がされたときに株主総会決議の取消事由になるに過ぎません(会社法第831条第1項第3号)。但し、自己株式の取得に関する決議の場合には、当該株式の保有者である株主の議決権行使は認められていません(会社法第140条第3項、第160条第4項、第175条第2項)。
作成日:2021年12月20日 -
取締役を1名追加したいと考えています。代表取締役となる予定でないため、取締役の就任承諾書への押印は認印で足り、印鑑証明書の添付は不要という理解で良いですか。
取締役会設置会社の場合、代表取締役の就任承諾書へは実印にて押印した上で、印鑑証明書を添付することが登記手続上要求されますが、取締役の就任承諾書についてはこのような制約はありません。
他方で、取締役会を設置しない会社の場合は、取締役の就任承諾書へ実印にて押印した上で、印鑑証明書を添付する必要があります。
作成日:2021年12月29日 -
日本国籍以外の者も代表取締役になることはできますか。
国籍については特に規定はありませんので、外国籍の方も代表取締役になることは可能です。以前の登記実務上は、代表取締役のうち少なくとも1名は日本に住所を有している必要がありましたが、現在その運用は廃止されています。
作成日:2021年12月29日 -
監査役の辞任に伴い後任者を選任しました。定款には、補欠監査役の任期は前任者の任期満了時までとする旨の規定があります。この場合、後任者の任期は前任者の任期を引き継ぎますか。
選任の際に、被選任者は補欠であること(その任期を前任者の任期満了時までとすること)が明示されていれば、「補欠監査役」として、その任期は定款に従い前任者の任期を引き継ぐこととなります。なお、辞任者又は後任者が複数の場合には、誰が誰の補欠であるかを区別して明示する必要があります。
作成日:2021年12月29日 -
当社には4名の取締役がいますが、そのうち2名の取締役が当日出張となってしまいました。取締役会の日程をずらすことなく、取締役会決議を行う方法はあるのでしょうか。
取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行うこととされています(会社法第369条第1項)。したがって、質問のケースでは、原則として3名の出席が必要であり、あと1名には出席してもらう必要があると考えられます。
この点、取締役間の協議と意見交換が自由にでき、相手方の反応がよく分かるようになっている場合、すなわち、各取締役の音声と画像が即時に他の取締役に伝わり、適時適確な意見表明が互いにできる仕組みになっていれば、テレビ会議システムを利用して取締役会を開催することも可能とされています(平成8年4月19日法務省「規制緩和等に関する意見・要望のうち、現行制度・運用を維持するものの理由等の公表について」)。また、電話会議システムを利用して取締役会を開催することも適法とされています(平成14年12月18日法務省民商第3045号法務省民事局商事課長通知)。したがって、テレビ会議システム又は電話会議システムを利用して取締役会を開催すれば、取締役会の日程をずらすことなく、取締役会決議を行うことができるものと考えます。
なお、取締役の日程があわない場合の対応として、いわゆる書面決議を行うことも考えられますが、書面決議については本問では割愛させていただきます。
作成日:2021年12月20日 -
当社の役員及び株主には外国人が多数います。株主総会や取締役会の議事録は英語で作成しても良いでしょうか。
会社法上は、議事録に使用する文字について特に制限されていません。但し、登記実務では、特に外国文字を認める旨の法令規定がない限り、外国文字で作成された議事録は適法とはいえず、そのような議事録が添付された登記は却下するものとされていますので、正式な議事録は日本語で作成し、英語版が必要であれば参考の訳文として作成される方が良いと考えます。
作成日:2021年12月29日 -
株主総会や取締役会の議事録には、役員全員が実印で押印する必要がありますか。
会社法は、議事録に押印する印鑑について特に制限を設けていませんので、認印による押印も会社法上は問題ありません。但し、代表取締役の変更登記に使用する場合など、登記手続との関係において、実印又は法務局へ登録している会社代表印での押印が要求される場合があります。なお、登記に使用しない場合であっても、議事録という書類の重要性に鑑みて、全員認印で押印するのではなく、代表取締役は会社代表印にて押印するのが一般的です。
作成日:2021年12月29日 -
取締役会において、議題に利害関係のある取締役がいる場合、当該取締役はどのように扱えば良いでしょうか。
取締役会決議の場合には、特別の利害関係を有する取締役は議決に加わることはできないとされています(会社法第369条第2項)。すなわち、取締役会決議の定足数からも決議要件の分母からも除外されることとなります。従って、ある議題について特別の利害関係を有する取締役がいる場合には、当該決議に関して、当該取締役を含めず定足数及び決議要件をカウントすることとなります。なお、議長の取締役が特別の利害関係を有する取締役である場合には、議長としての権限も失うとされていることから、当該議案については別途議長を選任する必要があります。
作成日:2021年12月20日 -
株券発行会社であるものの、実際に株券を発行していないのであれば、株式譲渡にあたって株券自体を譲渡する必要はないとの理解でよいのでしょうか。
実際に株券を発行しているか否かにかかわらず、株券を発行する旨の定款の定めがある株券発行会社の場合には、自己株式の処分による株式の譲渡のときを除き、株券を交付しなければ株式譲渡の効力は生じません(会社法第128条第1項)。したがって、譲渡人は発行会社に対し、株券の発行を請求した上で、当該株券を譲受人に譲渡する必要があります。
作成日:2021年12月20日 -
株主から譲渡承認請求書が送られてきました。「承認をしない旨の決定をする場合には、貴社または指定買取人が買い取ることを請求します。」との記載がありますが、当社としては、どのように対応すれば良いでしょうか。
貴社が譲渡を承認する場合、株主総会(取締役会設置会社にあっては取締役会。但し、定款に別段の定めがある場合にはそれに従います。)の決議により承認を決議し、その旨を譲渡承認請求者に通知することとなります(会社法第139条第1項、第2項)。
譲渡承認を拒絶する場合、譲渡承認請求を受領した日から2週間以内(貴社と譲渡承認請求者で別途合意が成立した場合には当該期間)に当該請求を行った譲渡承認請求者に対して譲渡承認を拒絶する決定をした旨を通知する必要があります(会社法第139条第2項、第145条第1項第1号)。
譲渡承認請求者が譲渡承認の請求とあわせて貴社又は指定買取人による買取りを請求し、貴社が譲渡を承認しなかった場合には、貴社自身が買い取るのか、それとも指定買取人を指定するのかを決定しなければなりません(会社法第140条第1項、第4項)。
その後の手続については、貴社自身が買い取る場合と指定買取人が買い取る場合で異なります。それぞれの場合について、別のQ&Aにて説明しておりますのでご参照下さい。
作成日:2021年12月20日 -
株主の譲渡承認請求を拒絶した場合において、当社が買い取ることを選択した場合の手続を教えて下さい。
貴社自身が買い取ることを決定した場合、貴社は、(1)貴社が買い取る旨、及び(2)貴社が買い取る株式数(種類株式発行会社にあっては買い取る株式の種類と数)を請求者に通知しなければなりません(会社法第141条第1項、第140条第1項)。この通知は原則として、貴社が譲渡承認を拒絶する旨を通知した日から40日以内に行う必要があります。40日以内にこの通知を行わなければ貴社が譲渡を承認したものとみなされてしまいます(会社法第145条第2号)。かかる通知を行うに当たっては、1株当たり純資産額に対象株式の数を乗じて得た額を貴社の本店の所在地の供託所に供託し、かつ、当該供託を証する書面を請求者に交付しなければなりません(会社法第141条第2項)。貴社が譲渡承認を拒絶する旨を通知した日から40日以内に当該供託を証する書面を請求者に交付しない場合にも、貴社が譲渡を承認したものとみなされてしまいます(会社法第145条第3号、会社法施行規則第26条第1号)。
貴社が通知した場合、株式の売買価格は、原則として、貴社と譲渡承認請求者の間の協議によって決定されます(会社法第144条第1項)。かかる協議が成立しない場合、会社又は譲渡承認請求者は、上記の買取りの通知があった日から20日以内に、裁判所に対して売買価格の決定の申立てを行うことができます(会社法第144条第2項)。この申立てがなされなかった場合は、供託すべき額が売買価格となります(会社法第144条第5項)。
作成日:2021年12月20日 -
株主の譲渡承認請求を拒絶した場合において、指定買取人が買い取ることを選択した場合の手続を教えて下さい。
貴社が指定買取人が買い取ることを決定し、指定買取人を指定した場合、指定買取人(貴社ではなく指定買取人が手続を進めることとなる点ご留意下さい。)は、 (1)指定買取人が買い取る旨、及び(2)指定買取人が買い取る株式数(種類株式発行会社にあっては買い取る株式の種類と数)を請求者に通知しなければなりません(会社法第142条1項)。この通知は原則として、貴社が譲渡承認を拒絶する旨の通知をした日から10日以内に指定買取人が行う必要があります。10日以内にこの通知が行われなければ貴社が譲渡を承認したものとみなされてしまいます(会社法第145条第2号)。かかる通知を行うに当たっては、1株当たり純資産額に対象株式の数を乗じて得た額を貴社の本店の所在地の供託所に供託し、かつ、当該供託を証する書面を請求者に交付しなければなりません(会社法第142条第2項)。貴社が譲渡承認を拒絶する旨を通知した日から10日以内に指定買取人が当該供託を証する書面を請求者に交付しない場合にも、貴社が譲渡を承認したものとみなされてしまいます(会社法第145条第3号、会社法施行規則第26条第2号)。
貴社が通知した場合、株式の売買価格は、原則として、指定買取人と譲渡承認請求者の間の協議によって決定されます(会社法第144条第7項、第1項)。かかる協議が成立しない場合、会社又は譲渡承認請求者は、上記の買取りの通知があった日から20日以内に、裁判所に対して売買価格の決定の申立てを行うことができます(会社法第144条第7項、第2項)。この申立てがなされなかった場合は、供託すべき額が売買価格となります(会社法第144条第7項、第5項)。
作成日:2021年12月20日 -
役員にストックオプション(新株予約権)を発行する場合には、会社法に定める新株予約権の募集事項を決議していれば問題ありませんか。
役員に対するストックオプションの付与は、会社法上、報酬等の付与の一形態として整理されています。そのため、新株予約権の発行手続として募集事項を決議するのみでは足らず、役員報酬についての決議も必要となります。
作成日:2021年12月29日 -
役職員に加えて取引先にもストックオプション(新株予約権)を発行したいと考えています。何か気をつける点はありますか。
役職員向けの新株予約権では、役職員の地位の保有など、一定の身分の継続を新株予約権の行使条件として定めるのが通常であるため、その行使条件と矛盾が生じないよう注意した方が良いと考えられます。例えば、役職員の地位がなければ行使できないという条件の新株予約権を取引先に付与すると、当初から役職員の地位を有しない取引先はそもそも行使できないのか、それともそのような条件は当然に適用されず無条件で行使できるのかなど、取扱いが不明確となってしまいますので、注意が必要です。
また、50名以上(6ヶ月の通算規定もあります)に発行する場合、金融商品取引法上の「有価証券の募集」に該当し、原則として有価証券届出書の提出(及びその後の有価証券報告書による継続開示)が必要となります。割当先が役職員のみの場合には、有価証券届出書の提出が免除される例外規定がありますが、役職員以外の者が含まれる場合は免除されない可能性がありますので、この点にも注意した方が良いと考えられます。
作成日:2021年12月29日 -
例えば株式の併合等により1株に満たない端数が生じた場合にはどのように処理すべきなのでしょうか。
会社法においては、例えば株式の分割又は併合により1株に満たない端数が生じる場合には、端数の合計数(その合計数に一に満たない端数がある場合にはこれを切り捨てる。)に相当する数の株式を競売し、その競売により得られた代金を交付することにより処理するものとされています(会社法234条、235条)。
もっとも、競売の実施には、手続や費用の負担が伴います。そこで、会社法は、競売の方法に代えて、①市場価格のある株式の場合は、市場価格として会社法施行規則に定める方法により算定される額をもって売却し、②市場価格のない株式の場合には、裁判所の許可を得て、任意売却することを認めています(会社法第234条第2項前段、235条第2項)。また、会社はこの株式の全部又は一部を自己株式として買い取ることもできます(会社法第234条第4項、235条第2項)。
作成日:2021年12月29日 -
当社は繰越損失を計上しています。資本金の額を当該損失額分減少することで繰越損失をゼロにできると聞きましたが、会社法上どのような手続が必要ですか。
資本準備金に振り替える場合を除き、資本金を減少すると分配可能額(会社法第461条第2項)が増えることとなりますが、会計上は資本剰余金が増えるに過ぎませんので、資本減少によって当然に繰越損失に充てられることにはなりません。
会社法上は、資本減少と、剰余金の処分(会社法第452条)という2段階の手続を行う必要があります。具体的には、まず資本金の額を減少し、それによって減少額が「その他資本剰余金」に振り替えられます。その上で増加した「その他資本剰余金」を「その他利益剰余金」に振り替えることにより、利益剰余金のマイナスを消すこととなります。資本減少と剰余金の処分はいずれも株主総会決議が必要となるため、同じ株主総会で決議している事例が多く見られますが、会社法上は別の手続ですので注意が必要です。
また、「その他利益剰余金」に振り替えることができる金額については、会計原則上、直近の確定決算における「その他利益剰余金」のマイナス額の範囲に限られるものとされていますので、ご留意下さい。
作成日:2021年12月29日 -
期中の増資により資本金の額が5億円を超えたため、資本金の額の減少を行い、大会社となることを回避したいと考えています。決算期まで1ヶ月を切っていますが可能でしょうか。
資本金の額の減少には、株主総会決議(会社法第447条)に加え、官報公告などの債権者保護手続(会社法第449条)が必要となります。債権者保護手続では、1ヶ月以上の異議申述期間を設定する必要がありますので、官報の申込期間も含めると、2ヶ月程度前から準備する必要があります。したがって、設例においては今期中の減資の実行はできないこととなります。
作成日:2021年12月29日 -
債権者は存在しませんので、資本減少を行うにあたり、債権者保護手続は省略できると考えて良いでしょうか。
債権者保護手続として、所定の事項を官報にて公告し、知れたる債権者へは個別催告を行う必要があります。個別催告については把握する債権者がいなければ省略可能ですが、官報公告については会社の把握していない債権者が存在する可能性もあるため省略することはできません。
作成日:2021年12月29日 -
新株予約権付社債(CB)を発行する際に、金融商品取引法の関係で注意が必要と聞いたのですが、それはどのようなことでしょうか。
CBの発行が金融商品取引法上の「有価証券の募集」に該当する場合、原則として有価証券届出書の提出(及びその後の有価証券報告書による継続開示)が必要となり、会社にとって多大な負担となるため、「有価証券の募集」に該当しないような内容に設計した方が良いです。このためには、勧誘対象人数を49名以下とする(6ヶ月間の通算規定あり)という通常の要件のほかに、CB固有の非募集要件の充足が必要となります。
適格機関投資家でない一般投資家を相手方とする場合、具体的には、(i)一括譲渡以外の譲渡禁止という転売制限を付した上で、新株予約権付社債券に記載するなど権利者等に周知させる手続がとられること、又は(ii)新株予約権付社債券の枚数(証券不発行の場合は新株予約権付社債の単位の総数)を50未満(「同一種類の有価証券」の6ヶ月の通算等の例外あり)とし、かつ分割制限を付した上で、新株予約権付社債券に記載するなど権利者等に周知させる手続がとられることという要件を満たす必要があります(金融商品取引法施行令第1条の7第2号ロ(4))。
作成日:2021年12月29日 -
新株予約権付社債(CB)は通常、新株予約権の行使に際して社債を出資することとなっています。これはいわゆる現物出資として、検査役による調査が必要にならないのでしょうか。
ご指摘のとおり、現物出資として検査役の調査が問題となりますが、一定の例外規定があり、検査役の調査が必要ないようにCBを設計するのが通常です。具体的には以下のような例外があり(会社法第284条第9項)、実務的には、下記第2号に鑑み、新株予約権の1個あたりの行使価額が500万円以下になるように設計するケースが多いようです。
第1号…行使された新株予約権の権利者が交付を受ける株式総数が発行済総数の1/10を超えない場合
第2号…現物出資財産について定められた現物出資の価額の総額が500万円を超えない場合
第5号…現物出資財産が会社に対する金銭債権(弁済期が到来しているものに限ります。)であって、当該金銭債権について定められた現物出資の価額が当該金銭債権にかかる負債の帳簿価額を超えない場合
作成日:2021年12月29日 -
社債を発行する場合には社債管理者というものを設置するという話を聞いたのですが、新株予約権付社債(CB)を発行するにあたって、社債管理者を設置しないためにはどのような要件を満たす必要があるのでしょうか。
各社債の金額が1億円以上である場合(会社法第702条但書)、又は社債の総額を各社債の金額の最低額で除した数が50を下回る場合(会社法第702条但書、会社法施行規則第169条)には、社債管理者を設置する必要はありません。実務上は、後者の場合に該当するよう設計することが多いものと考えられます。
作成日:2021年12月29日 - 他の市区町村へ本店移転する場合、移転先の管轄法務局にて類似商号調査をする必要はありますか。
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今月15日に株主総会を開催して本店所在地に関する定款規定を変更した上で、来月1日付で他の市区町村への本店移転を予定していますが、何か注意すべき点はありますか。
定款変更の効力は、原則として株主総会にて承認された時点で生じます。設問の事例の場合、株主総会日から本店移転日までの間に、定款上の本店所在地と実際の本店所在地とが合致しない状態とならないように、定款変更の効力発生日を本店移転日とする旨をあわせて決議されておく方が良いと考えられます。
作成日:2021年12月29日 -
本店移転後、最初の株主総会を開催します。何か気をつける点はありますか。
定款に定められた場所で開催する場合、又は株主総会に出席しない株主全員の同意がある場合を除いて、過去の開催場所のいずれとも著しく離れた場所で開催する場合には、招集に際してその場所を決定した理由を定め、招集通知に記載する必要があります。なお、「著しく離れた場所」については特に明確な基準はありませんが、同一又は隣接する市区町村以外で開催する場合には著しく離れているとして取り扱う方が安全と考えられます。
作成日:2021年12月29日 -
事業年度を変更したいと考えています。株主総会にて定款変更を決議すれば足りますか。
役員の任期について注意が必要です。会社法上、役員の任期は原則として「選任後○年以内に終了する事業年度のうち最終のもの」に関する定時株主総会の終結時までとなっていますが、事業年度を変更することで基準となる事業年度が変わってしまう場合には、事業年度の変更に伴い役員の任期が満了になってしまうことがあり、そのような場合には定款変更手続に加えて、役員の選任手続も必要となります。
作成日:2021年12月29日 -
事業年度の変更後、最初の定時株主総会を開催します。何か気をつける点はありますか。
前年度の定時株主総会の日に応当する日から著しく離れた日を開催日とする場合には、招集に際してその日時を決定した理由を定め、招集通知に記載する必要があります。なお、「著しく離れた日」がどの程度の差をいうかは、会社の規模や過去の定時株主総会の開催状況などの個別の事情によりますが、例えば1ヶ月以上離れている場合には著しく離れていると考えられています。
作成日:2021年12月29日 -
清算中における、2ヶ月の債権申出期間中であっても租税債務の支払いは行うことはできますか。
債権申出期間中の弁済は原則と禁止され、一定の債務(少額債権、会社の財産につき存する担保権により担保される債権、その他弁済しても他の債権者を害するおそれがない債権に係る債務)については、裁判所の許可を得て弁済することが例外的に認められます(会社法第500条第2項)。租税債務の支払いについて会社法は別段の定めを設けていませんので、支払う場合には裁判所の許可を得るのが妥当と考えます。
作成日:2021年12月29日 -
清算事務の一環として、オフィスの賃貸借契約を解約し、その後の清算事務は清算人の自宅で行いたいのですが、郵便局に転送依頼をしておけば、清算結了まで登記上の本店所在地は旧オフィスのままとしておいて問題ないでしょうか。
郵便局に転送依頼をしていた場合であっても「転送不要」と記載された郵便物は転送されないことや、議事録等の本店での備置義務を果たせないことなどが問題となる可能性がありますので、本店移転登記を行い、登記上と実体上の本店を合致させておく方が望ましいと考えます。
作成日:2021年12月29日 -
当社は、譲渡制限会社(譲渡承認機関は取締役会)ですが、解散することとなりました。清算中に株式譲渡が行われることとなった場合、解散前の取締役会における譲渡承認決議のような手続を行う必要はありますか。
清算会社となっても、株式の譲渡制限に関する定めの効力は停止しない(従前どおり有効)と解されています。但し、清算会社では取締役会は設置し得ないため、定款上取締役会を承認機関としたままでは矛盾が生じてしまいます。そのため、事前に「株主総会」等を承認機関とするための定款変更を行った上で、承認機関において譲渡承認決議を行うことになると考えます
作成日:2021年12月29日 -
債務超過の状態ですが、解散・清算するにあたり通常の清算手続とは異なりますか。
清算会社に債務超過の疑いがある場合には、裁判所の監督下で進められる特別清算の方法で行うこととなります。特別清算は、破産ほど厳格な手続を定めずに関係者の自治を尊重している点で、破産と通常清算との中間的な制度といえます。なお、特別清算を終結させるには、債務の一部カット等を内容とする協定を、債権者集会において可決する必要があり、出席議決権者の過半数かつ議決権の総額の3分の2以上の賛成が必要ですので、このような多数債権者の同意が得られる見込みがなければ、破産手続を検討することになります。
作成日:2021年12月29日 -
債務超過の状態ですが、特別清算を回避して清算する方法はありませんか。
債権者に債権放棄してもらうことが可能であれば、債務超過は解消され、特別清算手続を回避することができます。なお、債権放棄の時期に応じて税務上及び会計上の取扱いが異なる可能性があると考えられますので、債権放棄が可能であってもそのタイミングについては税理士等の専門家のアドバイスも受けながら、慎重に検討される方が良いと考えられます。
作成日:2021年12月29日 - すべてを表示
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